第二部 vs.にんげん!
第24話 つじぎり!
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ウェルドは屋根の上に膝をつき、男に叫んだ。
「俺が何したって言うんだよ!?」
男は路地の突きあたりまで走って行った。袋小路の九十度に折れ曲がる壁を三角に蹴り、同じ屋根に飛び乗る。
「なっ――ちょっ――」
そして猛然と走ってきた。
「あだああああああぁっ!!!」
ウェルドはフリップパネルで隣の屋根に飛んだ。
振り向けば、男も屋根の上を跳ぶ――トラップなど使わず、己の身体能力のみで。
ウェルドは立て続けに屋根の上を跳んだ。何度目かで新雪に足を取られ、屋根の上で転んだ。そのままごろごろ転がって、地面に叩きつけられる。
顔を上げると目の前に、人の足があった。
「なんだ、ぎゃあぎゃあうるさい物がいると思ったら、あなたでしたか」
オルフェウスがさもつまらなさそうな顔で言った。
「て、てめぇ――」
が、ウェルドは苛立ちを呑みこみ、槍を掴んだままの手で、オルフェウスの服を掴んだ。
「助けてくれ! 頭おかしい奴に追われてるんだ!」
「追われてる? やだなあ、だったら離れてくださいよ。僕がとばっちりを受けたりしたら一体どうしてくれるんです?」
「だからさ、ちょっとだけ、ちょっとだけ、な!? ちょっとだけ魔法で足止めしてくれるだけでいいんだ!」
「イヤです。離れてくださいよ。何で僕が男のあなたの為に危険を冒して助けなければいけないんですか? 大体、どうせ何か追われるような事をしたから追われているんでしょう」
「俺は何にもしてねぇって!」
「この槍は?」
そして、はっと気づく。オルフェウスは言った。
「どうせ盗もうなどとろくでもない事を考えたんでしょう。この真昼間の人の多い時に。君はつくづく頭が足りないなあ」
「ぬ、盗んでなんかいねぇよ! ちょっと借りただけだ!」
「だったら返せばいいじゃないですか」
「そうか! お前天才だな!!」
ウェルドはオルフェウスの手首を掴み、無理矢理槍を持たせた。
「返しといてくれ!! 頼むッ!」
「ええっ?」
ウェルドは新人冒険者の宿舎の前の通りを走り抜け、適当な建物の陰に隠れた。
息を整え、建物の角から来た道を窺う。
あの男が道を走ってきた。槍を抱えたオルフェウスを見つける。
オルフェウスは両手を上げて敵意がない事を示し、何事か言いながら男に槍を返した。
そして、ウェルドがいる方向を指さす。
男がウェルドを見つけた。槍を手に、嬉々として向かって来る。
「オルフェウス、てめえぇ!!」
ウェルドは全力疾走しながら叫んだ。
「それが『口では冷たい事を言いながら実は誰より心配している男』のする事かぁっ!!」
一方、鍛冶屋の裏手では、ウェルドに槍で頭を打たれた男が目を覚ます。
「ち、畜生――」
男はくらくらする頭を押さえながら、雪に手をつき、立ち
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