第二部 vs.にんげん!
第24話 つじぎり!
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ールと目が合った。
彼女は、青白い顔をそっと伏せる。何かに怯え、迷う様に。
三十分後、ウェルドは宿舎のエントランスで、ノエルと待ち合わせた。ノエルは一度だけウェルドと視線を合わせると、そっと目を伏せた。
彼女が何を言いたくて、そして何を言わないでいるのか、ウェルドにも何となくわかる。
「やっぱさ」
ウェルドは赤い額当てを巻きながら、ノエルの抱える気まずさを和らげ得る言葉を探した。
「割り切れるもんじゃねえよな」
ノエルは小声で答える。ええ、そうね。
「あたし、柱を壊すってみんなに言ったわ。その為に遺跡に入って――でも――もし、あたしの前に柱が現れてたら、あたし」
胸に抱く石板でそっと顔を隠し、呟く。
「壊せたか、わからない」
ウェルドは無言のまま、何度も頷いた。ドアノブに手をかける。細く開いた戸口から、雪が吹きこんできた。
「待ってください!」
誰かが宿舎の階段を駆け下りてきた。
エレアノールだった。
「パスカ達を探しに行くのですね。私も行きます」
そういう彼女は、それでもまだ、顔に不自然な緊張を隠したままだった。
「いいのか?」
「ええ……。この町を出なければいけない彼らを、放っておく事はできませんから」
「わかった」
ウェルドはドアを、外に向かって大きく開けた。
「ありがとな」
遺跡に行くには、町の大通りを横断しなければならない。
通りは馬車という馬車、人という人で埋め尽くされていた。今回は新人の受け入れはないと言うので、今いる外界の人物たちは皆商人という事になる。
冒険者たちが、馬車の列に群がり、冬物の服や酒や食料を我先にと買っていく。バルデスが言った通り、完全な売り手市場だ。一頭の家畜を巡って、冒険者達が買値を叫び、ちょっとした競りの状態になっていた。彼らは真剣そのもので、一触即発の空気でさえある。
足許の雪は黒く汚れ、踏み固められており、つるつる滑った。人に押されたり滑ったりしながら、この三人で行動するのは久しぶりだとウェルドは思う。ラフメルの葉を取りに行った、あの時以来だ。
「よう! ウェルドじゃねえか」
不意に、慣れ親しんだ声に呼びかけられた。ウェルドは、おっ、と眉毛を吊り上げて、声の主に片手を上げる。
シェオルの柱探しを共にした戦士、アルバートだった。相棒ボスマンも共にいる。
「すげえ人だな。俺たちが来た時こんなんだっけ?」
「そりゃアレだ、お前らの時はお前らしかたどり着けなかったからよ」
「あー、そうだった」
「今よ、服とかよ、この町じゃ作られてねぇもんいっぱい入ってきてるからよ、買っときな。オイゲンの親父が一括で仕入れてるから後でも買えねえわけじゃねえけどよ。あの親父ボりやがるでよ」
「そうしたいのはやまやまだけどさ、時間ねえんだよ
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