初年度
学園編
TURN-04『もう1人のイレギュラー』
[4/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
女に問う。
「そんなところで何してるの? 凛」
「え? あ、あはは‥‥。ちょっとね」
『凛』と呼ばれる少女は、明日香の問いに苦笑で返した。
「実は、髪を纏めようと思ってたタオルが風で飛ばされちゃって、拾いに行ってたんだ。そしたら明日香ちゃんが急に声を掛けるからびっくりしちゃって‥‥」
そう言って凛は地面に落ちていたバスタオルを拾う。
どうやら1度回収したバスタオルを、さっきの明日香の声に驚いた拍子に落としてしまったらしい。
「もぉ〜! 驚かせないでよ」
「あはは、ゴメンねジュンコちゃん」
ジュンコの言葉に、凛はまたも苦笑で返す。
「ホラ、早く入りなさい。そのままだと、風邪を引くわ」
「うん、ありがと」
夜風に晒されていた凛に、明日香が入浴を促す。
言われた凛は、自身の長い黒髪をバスタオルで纏め、いそいそと湯船に浸かった。
季節も相俟って、かなり冷えたらしい。
「ハァ〜〜‥‥」
凛は極楽と言わんばかりに、全身で湯を堪能する。
「ねぇ、凛さんは気になる殿方はいませんの?」
「ふえ!?」
そんな凛を巻き込んで、再びガールズトークが復活した。
ももえの口から出た思わぬ問いに、凛の顔が僅かに紅潮する。
「そうね。驚かせた罰として、白状しなさい!」
「白状って‥‥まだ入学して日も浅いのに、そんな人いないよ!」
凛の言うことはもっともだ。
入学してからまだ間もないのに、そういう対象ができるのはまず無いだろう。
しかし、例外はある。
「わからないわよ。一目惚れとかならあり得るかも知れないじゃない」
「ひ、一目惚れ!?」
そう、ジュンコの言うとおり、一目惚れ≠ニいう場合だ。
それなら、期間は関係ない。
ジュンコの言葉を受けた凛の顔は、破裂するのではないかというほど赤くなっている。
よほどこういった話に耐性が無いのだろうか。
ジュンコやももえと比べて、今時にしてはめずらしい性格だった。
「2人とも、あんまり凛をいじめちゃダメよ」
「いじめてなんかいませんよ、明日香さん」
「そうですわ。ただのコミュニケーションですわ」
こうなっては2人を止められないとわかっているのか、明日香は溜息をつくと、それ以上何も言わなかった。
明日香というブレーキ役が任を降りたことで、2人はますます凛に詰め寄る。
「恥ずかしがらずに教えてくださいな」
「そうよ。別に好きな人教えなさいって言ってるんじゃなくて、気になる人教えてって言ってるの!」
「そ、それって意味同じなんじゃ‥‥」
「つべこべ言わずに白状しろー!」
「きゃあああ!!」
業を煮
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ