初年度
学園編
TURN-04『もう1人のイレギュラー』
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か、そんな自分を仕方なしとして縮こまっているようにも見えた。
そんな翔を見て、俺はなんともやり切れない思いを抱いた。
隣の三沢も、同じような思いだったのだろう。
だからさっきあんな表情を浮かべていたんだ。
常識人であれば、こんな場面でいい気分はしないだろう。
クラスは違えど、同じ学び舎で学んでいる仲間じゃないのか?
そうだ、仲間が嗤われているのに自分も嗤っているなんて、どうかしている。
──どうかしているんだ‥‥。
そんな暗鬱な気分を、ある人物の声が掻き消した。
「でも先生。知識と実戦は、関係ないですよね?」
翔の横の席に座っていた、十代だ。
その言葉にハッとして、十代の方へと視線を移す。
今まで嘲笑の笑みを浮かべていたクロノス教諭も同じく。
「だって俺もオシリスレッドの1人ですけど、先生にデュエルで勝っちゃったし!」
頭を掻くという、まるで照れるような仕草を見せながら、十代は笑みを浮かべて言う。
「ぐぬぬぬマンマミ〜ヤ〜‥‥!」
十代に負けたという事実は、よほど忘れたい出来事なのだろう。
生徒の前だというのに、クロノス教諭はハンカチを噛み締めながら、既にお馴染みとなりつつあるセリフを吐く。
その直後、またしても笑いが起きた。
今度は主にオシリスレッドから。
ふと隣を見ると、三沢も笑みを浮かべている。
そして、俺が気づく事はなかったが、明日香も‥‥。
十代やその周りの雰囲気を見て、改めて俺は思う。
言い方は悪いが、レッドの成績は底辺だ。
もしかしたら、将来に響く可能性もあるかも知れない。
けど、縦え劣等生のレッテルを貼られても、あんな和気藹々とした雰囲気の中にいる方がいいと、俺はそう思った。
「えー錬金術とは、文字どおり──」
次のコマは大徳寺先生の『錬金術』の授業だ。
1時限目のクロノス教諭の授業とは違って、俺の意識はハッキリと覚醒している。
『錬金術』なんて、現実の世界では学ぶ機会がほとんど無い分野だからだ。
元々雑学なんかが好きな性分も相俟って、俺は『錬金術』の授業に嬉々として臨んでいた。
──が、そんな俺とは正反対のヤツも勿論いる。
さっきの授業で最も目立っていた十代である。
デュエルモンスターズに関してはノリノリなクセに、こういうことにはまったく無関心らしい。
最前列に座っているにも関わらず、両手で頬杖を突き、いかにも退屈だと言わんばかりにあくびをしている。
──俺としては面白い授業だと思うんだがなぁ‥‥。
途中、先生の猫──ファラオが勝手に動き回るというハプニングもあったが、それ以
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