オーバーロード編
第5話 全ては友のために
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「だったらせいぜいリスクを負ってもらおうかしら」
「フン。いいだろう。ご自慢のゲネシスドライバーの力、試させてもらう」
ある男と女の、殺伐とした密会。それを巴は高架の上から無言で見つめていた。
戒斗はヘルヘイムの森を、オーバーロードを目指して歩いていた。
最初はただ歩くだけだったが、先ほど耀子から、オーバーロードの現在地を教える通信が入ったので、今はそこを目指している。
(それにしても鬱陶しい)
後ろから足音が付いて来ている。ずっと。尾行にしては堂々としている。
戒斗は足を止め、勢いよく後ろを顧みた。
そこにいたのは、制服姿の関口巴だった。軽く目を瞠っている点を見るに、戒斗がふり返るとは思っていなかったのだろう。
「俺に何の用だ」
「あなたがユグドラシルの湊耀子から新しいドライバーを貰っているのを目撃しました。あなたはユグドラシルと繋がっている。あなたに付いて行けば、オーバーロードとコンタクトできる確率は高いと思いまして、付いて行かせてもらっていました」
一度破った相手だからか、巴は臆さず答えてみせた。
「どこでオーバーロードのことを知った」
「DJサガラから教えていただきました」
「アレには借りがある。奴は俺の得物だ」
「構いません。わたしが求めるのはオーバーロードの知恵ですから」
「お前も、葛葉のように話し合いでどうにかしようとするクチか」
ハッと嗤ってやれば、巴は嫣然とした笑みを浮かべた。
「まさか。あちらが参りましたと土下座するまで叩いてから、欲しい知識を頂くつもりです」
少なくともこの少女は、葛葉紘汰よりは現実を弁えているらしい。
「その知恵とやらが、全人類オーバーロード化などであってもか」
「別に。人類全てがオーバーロードになってもいいです。姿形が変わったって、わたしは碧沙を見間違えないし、好きな気持ちも変わりませんから。何より大事なのは、今苦しんでいる碧沙を救い出すことです。人類なんて、オマケです」
そこからの会話はなかった。
戒斗が歩き出すと、後ろから数歩の間を置いて巴も歩いてくる。戒斗が地図を見るために立ち止まると、等間隔で巴も立ち止まる。
一度振り切ろうとスピードを上げたが、巴は同じ歩調で付いて来たので、諦めた。
歩き続けて数十分、やがて巴たちは石造りの洞窟のような遺跡に辿り着いた。
「ここですか?」
「連中の言葉を信じるならな」
ふいに戒斗が、にやり、と笑った。
「来たな」
戒斗がふり仰いだ方向を巴も見上げる。巴にとっては初めて見るそれが、紅いオーバーロードだった。
『シェデョミョショ。ジョファデェミョディジ、シュビリェガ』
「こ
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