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ロード・オブ・白御前
オーバーロード編
第2話 紘汰と初瀬の相談会
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 沢芽駅。名の通りざわめきが鳴り止まないこの駅にて、関口巴は待っていた。学校が終わってから直行したから、格好は制服のままだ。


 何度も腕時計と駅舎の電光掲示板を見比べる。電光掲示板の到着時刻に、腕時計の針はもうすぐ及ぶ。
 どき、どき、と心臓が高鳴っていくのが分かる。

 駅舎の柱の一つにもたれていた巴に、不意に声がかかった。

「カ〜ノジョっ。一人? 俺らと遊ばな〜い?」

 どこかで見たような顔の男3人組――そういえばビートライダーズホットラインに出ていた。確かチーム名は、レッドホット。素行の悪さではビートライダーズダントツだと聞く。
 そんな連中に、声をかけられた。興味を持たれてしまった。

 背中には柱。大の男3人に囲まれて、巴には逃げ出す隙がない。

「申し訳ありませんが、人を待っていますので、あなた方に付いて行くことはできません」

 だから、はっきりと断りの言葉を口にしたのに。

「いーじゃん、ちょっとだけ! ね!? 別に悪いことしようってんじゃないんだからさァ。相手来るまでに戻ってりゃそれでいいじゃん」

 レッドホットのリーダー、曽野村が巴の腕を掴んで引っ張って行こうとした。これには巴も冷静ではいられなかった。

「い……いやです、いや! 亮二さん、亮二さん、亮二さん!!」

 次の瞬間、巴の腕を掴んでいた曽野村の手が引き剥がされた。

「そいつを離せ」

 巴を救ったのは、初瀬亮二だった。
 初瀬は曽野村の手首をねじり上げる。曽野村が悲鳴を上げても一切酌量しない。

「二度とこいつに妙なちょっかいかけんじゃねえぞ。さもないと――」

 初瀬は一度だけ曽野村の手首を強く掴み、そして、離した。曽野村は「ごめんなさい」を連呼しながら、他の仲間と共に逃げて行った。


「亮二さん……」
「悪い。怖い思いさせちまったな」

 巴は大きく首を横に振った。初瀬のせいなどではない。自分が無防備だったからいけないのだ。それに初瀬は巴をピンチから救ってくれた。

「亮二さん。わたしの手、握ってくれますか?」
「え? あ、ああ」

 初瀬は戸惑いがちに巴の手を取った。汗ばんだ、大きな掌。初瀬の手だと思うと、ちっとも怖くも気持ち悪くもなかった。

「このまましばらく握ってても、いいですか?」
「ああ。トモがそうしたいんなら、別にいいけど」

 巴は初瀬と手を繋げたことに内心小躍りしながら、二人で駅舎を出た。
 きっと今の自分は極上の笑顔を浮かべている。




 ドルーパーズにて。再び紘汰は頭を抱えていた。

 つい先日。紘汰はついにオーバーロードと接触した。結果は惨敗だった。二重の意味で。


 “頼み込めば情けをかけて人類を救って
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