ユグドラシル編
第15話 紘汰vs裕也! 希望の対価とは
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珍しく賑わう“ドルーパーズ”にて。紘汰はカウンター席に座って頭を抱えていた。
(裕也……)
“その70億人から碧沙と二人、あぶれても”
裕也は覚悟を決めていた。呉島碧沙と二人でできるやり方で人類を救うと。そのために自らの犠牲は厭わないと。
(俺は、どうすれば)
人類が滅びると、とっくの昔に聞かされていても、何の行動も起こさなかった自分。
きっとどこかで疑っていた。裕也の語ったことがまさか本当なわけがない、と。だって、今日まで地球は滅びなかったし、人類はなんとなく生きてきたではないか。
「よう。浮かない顔だな」
はっとして後ろをふり返る。個室席に、DJサガラが座って、よ、と手を挙げていた。
「あんた……いつからそこに」
個室席に入るには紘汰がいるカウンター席の前を通らねばならない。だがそんなことはなかった。見逃してなどいない。
「お前何迷ってんだよ。何がしたいんだよ。この街を守る! って息巻いてたのは、どうしたんだ?」
「……それじゃ足りなさすぎるって分かっただけだ」
街を守りたい。大切な人たちを傷つけられたくない。全て本心だ。だがそれでは足りないのだ。裕也の覚悟の足元にも及ばない。
そんな自分が無闇にユグドラシルに飛び込んで、裕也の邪魔をしていいわけがない。
葛葉紘汰には、覚悟も理由も、ない。
それは関わる資格がないのと変わらない。
「自己犠牲はそんなに尊いか?」
「あいつの決意をそんなふうに言うな!」
サガラは「やれやれ」とでも言いたげに肩を竦めてから、個室席を出て、紘汰の隣のカウンター席に腰を下ろした。
「角居裕也はな、自分が弱いのを知ってんだ。ルールに縛られて戦うしかできない、世界の残酷さに屈服するしかない、自分はそこまでの男だってな。だから弱いなりの戦い方を選んだ。希望の対価に要求される犠牲を自分一人、いや、自分と呉島碧沙の二人に留めようとしてる」
「弱いなりの、戦い方――」
今まで紘汰は、「弱い」とは「戦えない」とイコールで考えていた。だが、サガラはそうではないと言う。紘汰の中にあった「強い・弱い」の価値観が、ゆで卵の殻のように剥がれていく気がした。
「逆に、強がって自分の弱さから目を背けてるのが関口巴だ」
「巴ちゃんが?」
アーマードライダーとしての初陣で次々とインベスを屠ったほど強いのに。
いや、たった今の気づきを適用するなら、戦えても弱い巴というのは矛盾していない。
「自分は強い。強く在らねばならない。何故なら守るべき友がいるから。虚勢だろうが張り続けなきゃならないと自身に課してる。そしてそんな自分に自覚がない。そんな奴の末路は二つに一つ。意地張って破滅するか、ある瞬間に夢
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