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ロード・オブ・白御前
ユグドラシル編
第15話 紘汰vs裕也! 希望の対価とは
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慮るのは雑念にしかならない。

 電気ショックは武器越しでも通るようで、カチドキ旗で防いでも腕が痺れる。
 痺れようが鎧武は止まらない。止まれない。
 裕也と碧沙の寂しい道行きを、ユグドラシルの身勝手を、そうさせただけの世界のルールを壊すと決めたのだ。

《 オリーブスカッシュ 》
『はあ!!』

 シャロームが警棒を地面に突き刺した。すると足の裏から痺れが走り、鎧武はたたらを踏んだ。

『まだまだ行くぜ』

《 オリーブオーレ 》

『ガ!? ああ、あああ!!』
『ぶっ飛べ!』

《 オリーブスパーキング 》

『あああああああああ!!』

 感電に耐えられなくなった鎧武がヘリポートからまろびて落ちた。





 シャロームはすぐ背を向けた。下のシャフトに引っかかるように落としたから助けに行こうと――そこでシャロームはふり返った。

 自分より高く、ダンデライナーに立ち乗りし浮遊する、鎧武。

『俺は諦めない。お前と碧沙ちゃんの犠牲が必要な世界なら、それを求める世界と戦う!』

 ダンデライナーがシャロームを横切って下に降りた。おそらく狙いはスカラー兵器。

『紘汰……お前って奴は、ほんっと……』

 立ち尽くし、独白する間にも、鎧武に対する対空防御装置が発動した。だが紘汰ならば避けてしまえるだろう。

 そして、4つの爆音。

(ああ、やったのか)

 ピピと音がして、通信機に音が流れた。

《聞こえるかい、角居君》
『はい、プロフェッサー凌馬。すんません。紘汰の奴、逃がしちまいました』
《それはいい。それよりも、キミと光実君には改めて重大な任務が増えた》

 裕也はオリーブの錠前を閉じて変身を解いた。

「紘汰にあのロックシードを与えたのは誰か探る仕事、っすね」
《本当にキミは呑み込みが早い》

 戦った時から予想はついていた。「犠牲を求める世界と戦う」「絶望を壊しに来た」――紘汰のボキャブラリーにはなさそうな言葉での理論武装。紘汰には今までなかった言葉を吹き込んだ何者かがいるはずだ。そいつが紘汰をそそのかし、けしかけた。

 裕也は目を眇め、ヘリポートの出口へと歩き出した。

 親友を裏から操った人間への落とし前をどうつけてやるか、考えながら。
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