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ロード・オブ・白御前
ユグドラシル編
第7話 白鹿毛vsシグルド! 決死の大逃亡
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た。

 白鹿毛はぎりぎりの間合いから薙刀をシグルドへ向けて突き出した。

 シグルドはそれを弓で逸らし、白鹿毛の懐に入ろうとする。白鹿毛はシグルドから逃げることも含め、柵を飛び越えて下のフロアに飛び降りた。研究員たちが悲鳴を上げて逃げ出す。

 息をつく暇はない。頭上から紅いソニックアローが降り注ぎ、白鹿毛を襲う。白鹿毛はソニックアローの雨を避け、時には薙刀で弾き、少しずつ後退していったクラックへ背中から飛び込んだ。

 キャンプを張っていた研究員や防護服の連中が悲鳴を上げ、散り散りになる。
 これで逃げられれば御の字だが。

 紅いソニックアローは白鹿毛を追ってきた。白鹿毛はとっさに薙刀でソニックアローを受け、爆ぜた余波で転がった。

『くっ…』
『認めちまえよ、お嬢サマ。あんたは力が欲しいんだ。だからその力を持ち去ろうとしたんだ。諦めてテスターになっちまえって。そうすりゃ検体T――呉島碧沙のそばにもいられる』
『どうしてあなたがそれを…』

 関口巴が抱える碧沙への執着。親友になりたい、一番になりたい。特別な人間の「特別」になることで、自分が持たないものを埋められる気がするから。

『同族嫌悪――ってやつだ、よッ!』
『ガハッ!?』

 シグルドに腹を蹴られて転がり、近くの木の幹にぶつかって止まった。腹も背中も痛い。

『ぅ、づ……そう、ですか。あなたにもいるんですね、特別な、ひと……』
『まあ、そういうこった。つーわけでガキのお守りは終わりだ。強制送還してやるよ』

 シグルドが最後のソニックアローを突きつけた。終わりか、と白鹿毛は諦めかけた。

 その時だった。それぞれのロックビークルに乗った鎧武とバロンが飛び出したのは。



『無事か、関口』

 ローズアタッカーを白鹿毛の近くに寄せ、バロンは淡々と問うてきた。

『っ、はい……』
『葛葉の後ろに乗れ。脱出する』

 鎧武を向く。鎧武は肯いて後部座席を示した。白鹿毛は急いで鎧武とタンデムした。

 2台のバイクがシグルドを圧倒する。シグルドが紅いソニックアローを撃っても、走行中のバロンと鎧武には辛うじて届かない。

 鎧武とバロンは同時にウィリー走行し、シグルドをツイストランで攻撃した。

『戒斗っ』
『今の内だ。逃げるぞ』

 サクラハリケーンの上、白鹿毛は振り落とされないようしかと鎧武の腰に掴まり、外界へ出るためらしきツイストランに耐えた。





 シグルドは全力のソニックアローで、逃げ行く三者を撃とうとした。


 “シドさんと話してる時間、好きです。わたし、大人のひとと話せてるんだ、って”


 葛葉紘汰と駆紋戒斗はともかく、関口巴は、碧沙の――

 シグルド
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