ユグドラシル編
第3話 凌馬の美学
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呼びつけた量産型黒影が、紘汰、戒斗、巴を連行して行った。
オフィスフロアにはまた凌馬と耀子の二人だけになった。
「デザインは悪くないと思うのになあ。なぁんですぐウンって言ってくれなかったんだろ。ねえ、分かる? 湊君」
「私には何とも」
「うーん。私が彼らの立場ならすぐOKするんだけどなぁ」
凌馬は2枚のラフスケッチをひらひらさせながらふて腐れた。デザインは悪くない、絶対、悪くないと思うのに。
「よろしかったのですか? プロフェッサー凌馬。新しいドライバーの件、彼らの自由意思に委ねて」
「う〜ん。そうだねぇ」
生返事しつつ、凌馬は資料の山から2枚の紙を掘り出した。
検体T
呉島 碧沙(14)
私立××中学校在籍 所属部活動なし
身長 1XXcm 体重 XXkg 血液型 O+
インベスの攻撃を受けてもヘルヘイム感染を発症しないほどの強いヘルヘイム抗体を持つ。
追記 ヘルヘイム抗体の副産物かは不明だが、ヘルヘイムの果実の香りを不快と主張し、
実際に果実を食べさせても、嘔吐し、体が受け付けなかった。
第六感に優れる。
被験体 8 関口 巴(14)
私立XX中学校在籍 所属部活動なし
身長 1XXcm 体重 XXkg 血液型 A+
シリアルナンバー 「白鹿毛」
使用ロックシード アーモンド(ランクA)
アームズ 和タイプ
主武装 薙刀
※ X月X日、戦極ドライバーをロスト。
追記…検体Tのクラスメートでもあり、平時は常に行動を共にしている。その関係は共依存
にも近いものがあり、彼女らの行動理念は互いに因ることが多い。
「まあ確かに、無理にやらせることができないわけじゃないよ。葛葉紘汰なんかは、観察記録を見るにお人好しっぽいから、身内か友人でも人質にすればやるだろう。でもね湊君、私が欲しいのはそういうデータじゃないんだ。全力でドライバーと果実の力を解放した時に何が起きるのか、私が知りたいのはそこなんだから。それに」
「それに?」
「ドライバーは私の最高傑作だ。本気で使わない連中に使わせるなんて許すはずないだろう?」
湊は黒い両目をぱちぱちと瞬いた。
「そうですね――差し出がましいことを申し上げました」
「分かればよろしい」
凌馬はにっこりと笑った。それを受けてか、耀子ははにかんだ。ごくまれに見せる彼女のこういう表情は嫌いではない。
(葛葉紘汰よりこの二人のほうが、互いに人質にしてしまえば言うことを聞く度合いは高まるだろうけど、それだと僕の美学に反するん
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