ユグドラシル編
第2話 対面
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彼女を完全に防ぎきってみせるのに。
手元に力がない悔しさは初瀬を見て知ったと思ったのに、巴はまだまだ不勉強だった。
「湊君」
「申し訳ありません、プロフェッサー凌馬。熱くなってしまいました」
「いいよ。キミがそうなるくらいの相手がいるというのは、私も上司として嬉しいよ」
「光栄です」
巴と耀子はどちらともなく手足を引き、互いから距離を取った。
「巴ちゃん! 大丈夫か」
紘汰が巴の肩を掴んだ。本当に心配している人間の顔だ。
巴は不思議に思う。紘汰ときちんと接するのは今日が二度目なのに、どうして彼はここまで巴を気に懸けることができるのか。
「それを俺たちに聞かせた上で、俺たちにどうしろと?」
戒斗が忌々しげな声を上げた。
「引き続き、協力をお願いしたいんだ」
凌馬はデスクに戻って座り直し、何かのスケッチを巴たちに見せた。
「ここだけの話、私はよりさらなる高みを目指している。より強力で全能な神の力に至るためにね。このプランはまだ正式に承認を得てないんだがね。もしキミたちが望むのなら」
「さらにモルモットを続けろ、と?」
紘汰の言葉に、凌馬は我が意を得たとばかりに立ち上がり、こちらに歩み寄った。
「キミたちは新しく手に入れた力を思いのままに使ってくれていいんだ。想像してみたまえ。戦極ドライバーを大幅に上回る全能感だよ?」
凌馬の誘いに、巴は何の魅力も感じなかった。横の紘汰と戒斗も同様らしい。険しい顔をしている。
(欲しいのは、力なんかじゃなくて、資格。碧沙と『特別な友達』を続けられるだけの。それさえあれば、わたしは何だっていいの)
「まあ色々と考えを整理する時間も必要だろう。一流ホテル並みとは言わないが、快適な環境を用意してある。のんびり滞在してくれたまえ」
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