ユグドラシル編
第1話 生存判明
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ため前に出た。
そこでは鎧武がビャッコインベスと戦っていた。
巴はその闘争をぼけっと見つめた。
(亮二さんの気持ち、今ならもっとちゃんと分かる)
関口巴はもう戦極ドライバーを持っていない。巴には鎧武に貸せる力がない。一般人らしく逃げるべきなのだ。だから巴はすり鉢型ステージを後ろに登って行こうとした。前を向いたまま。そんな登り方では、
「あ…っ」
当然こける。巴は段差に躓いてその場に尻餅を突いた。
ちょうど時同じくして、ビャッコインベスが鎧武の攻撃で、巴に近い客席に吹き飛んだ。
巴と、ビャッコインベスの、目が、合った。
『!? 巴ちゃん!?』
ビャッコインベスが巴に爪を剥く。鎧武が巴を救おうと客席を登ってくる。三者がほぼ同じ位置に並んだ時だった。
巴の目の前で、黄緑のソニックアローが、鎧武とビャッコインベスを射抜いた。
「え――」
巴は座り込んだまま、ソニックアローが飛んできた方向を見上げた。
劇場の壁の上、4人のアーマードライダーが立っていた。メロン、チェリー、レモン、ピーチでデザインされた鎧をまとった、鎧武らからは上の段階らしき戦士たちだった。
ソニックアローのダメージで変身が解けた紘汰は、噴水近くまで転がり落ちた。何とか肘を立てて上半身だけでも起き上がる。
前方には同じくソニックアローを受けて落ちたビャッコインベスがいる。もう一度変身しようと、戦極ドライバーを出した。
ビャッコインベスの全身に濃緑の葉が広がり、散った。
そこに倒れていたものを見て、紘汰は息を呑んだ。
――それは3ヶ月前から行方不明だった、リーダーの角居裕也だった。
「え…裕、也…? 裕也がインベス…え…何、で」
呟いた直後、4人のアーマードライダーの内、銀のアーマードライダーが降り立った。
『手加減しろ。貴重な検体だ』
『スイマセンね、っと』
銀のアーマードライダーは倒れた裕也の胸倉を掴み上げた。
「う…」
「裕也!!」
『貴虎ぁ。このまま回収でいいな』
『ああ』
銀のアーマードライダーは裕也の胸倉から手を離し、腹に腕を回して裕也を肩に担ぎ上げた。
するとどこからともなく黒影トルーパーが現れた。銀のアーマードライダーは裕也を彼らに渡してから、紘汰に向き直った。
「…んでっ…何で裕也が…っ、お前らなんかと…」
銀のアーマードライダーはチェリーのロックシードを閉じて変身を解いた。そこに立っていたのは紘汰もよく知る人物――錠前ディーラーのシドだった。
「『なんか』とは失礼な。俺たちはインベス化して苦しむお前のオトモダチを保護してやってたんだ。感謝されこそすれ、責められる謂れはないぜ」
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