ビートライダーズ編
第13話 巴と初瀬 A
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ドラゴンインベスの口には、例の“森”で見た毒々しい紫の果実が引っかかっている。まさかあれを食べたからパワーアップしたのか。そもそもあれは“森”にしか生らない植物ではないのか。
初瀬の中で疑問がいくつも湧く間にも、ドラゴンインベスは大きく首を振って駅舎を破壊しようとしていた。
初瀬はとっさに巴を抱えてドラゴンインベスの首振りを避けて跳んだ。ホームの床に二人して転がる。
だがこれ以上の抵抗は思いつかない。逃げ出せば街にこの怪物を放ってしまう。
すると巴が起き上がり、学生鞄をひっくり返した。落ちる教科書やノートには目もくれず、巴は鞄の底から何かを取り出そうとしている。
(戦極ドライバーだ)
直感した。巴はアーマードライダーとして戦おうとしている。
だがそんな巴を意に介さず、ドラゴンインベスは巴の胴を、ぱくりと、咥えた。
「ひゃ、ああ!?」
「な…!」
某恐竜映画のように脇を咥えられ、宙吊りになる巴。初瀬の腕が届く高さではない。食われるにせよ落とされるにせよ、関口巴の生存は絶望的と思われた。
翡翠色と金色を振り撒きながら、一本の光矢がドラゴンインベスの喉を貫いた。
巴を咥えていた口が開いたことで、巴が宙に投げ出される。
「きゃっ」
「ともっ…!」
初瀬が声を発するより速く、ドラゴンインベスの口から落ちた巴を受け止めた者があった。あの“森”で出会った、初瀬とは正反対の白をまとうアーマードライダーだった。
『怪我はないか』
「は、い。貴と……」
『斬月だ』
「……そうでした。すみません」
斬月は抱えていた巴を下ろした。
「巴!」
初瀬は駆け寄って巴を引っ張り、自分の背中に隠した。巴も軽く初瀬の背中に身を寄せた。
「知り合いなのか」
敵意を剥き出しにする。この男のせいで初瀬は戦極ドライバーを失ったのだ。平静に相対していられなかった。
「――碧沙のお兄さんなんです」
「ヘキサって、相方か」
斬月がドラゴンインベスに向かい、アーチェリーの弓のような武器で次々とソニックアローを放つ。さらには、斬月自らが跳び、弓での一撃と蹴りを同時にくり出した。ドラゴンインベスの口から放たれる青い火球も、斬月は物ともしない。
攻防のどちらも、初瀬が“森”で戦った時から段違いに進化していた。
斬月はロックシードを弓にセットした。
《 ロック・オン 》
『――終わりだ』
それがトドメだと初瀬にも分かった。見ていて内臓が冷えるほどの巨大なエネルギーが、弓に番えられていくのだ。分からないはずがない。
《 メロンエナジー 》
翡翠と金の混じる矢が放たれた。矢はドラゴンインベスの巨体をあっさり貫き、ソ
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