ビートライダーズ編
第12話 変身できなくても
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いざ地元に帰ろうと決めたはいいが、最寄り駅からは初瀬の地元への便が出るまで時間が余りすぎていた。田舎だと自覚していても、こういうパターンに遭遇すると凹む初瀬である。
時間を潰す際、巴がゲームセンターに行きたいと言ったので、初瀬は駅前のゲームセンターに巴を連れて行った。
ゲームのSEとコイン音でうるさいばかりの場所なのに、巴は遊園地に来た子供のように顔を輝かせた。
「こういうとこ、初めてか?」
巴はこくこくと肯いた。
「あ、あれ! あれ、何ですか」
「UFOキャッチャー。何だ、知らないのか」
初瀬が歩くと、腕を組んだ巴も当然、一緒に付いて来る。初瀬はやわらかい手の感触を意識すまいと必死に別のことを考えた。
「かわいー……」
ファンシーなキャラクターのぬいぐるみをガラス越しに見て、巴はさらに目を輝かせる。
「取ってやろうか?」
「できるんですか!?」
「朝飯前。見てろよ」
初瀬はUFOキャッチャーに硬貨を入れる。→と↑のボタンを駆使し、デフォルメされた白馬を見事にキャッチし、落とした。
「ホレ」
ぱああ、と巴は明るさを振り撒き、初瀬が差し出した白馬のぬいぐるみを受け取り、胸に抱いた。オイぬいぐるみそこ代われ、とは断じて思っていないと、初瀬は自分に言い聞かせた。
(笑ったとこ初めて見た。そういう顔もできんじゃんか)
ちなみに、対戒斗のインベスゲームでの巴の笑顔は、笑顔とカウントしていない初瀬である。
「わ、わたしもやってみて、いいですかっ」
「別にいいけど」
初瀬がOKを出すや、巴は近くの両替機に駆けて行った。
巴は戻るなり、初瀬の腕を掴んで、もう片方の手で百円をUFOキャッチャーに入れた。
……結果。10戦10敗。巴はさらに札を硬貨に崩しに行って再チャレンジしたが、物の見事に収穫はなかった。
「どっかのアニメで言ってたぞ。『UFOキャッチャーは貯金箱』って」
「上手いこと言いますねそのアニメ……」
UFOキャッチャーでは勝機がないから、初瀬は巴に別のゲームをしようと提案した。
それから初瀬と巴は、シューティングにクイズにリズムゲーム、様々な遊びに興じた。
――そろそろ初瀬にも、自分が見ていたものが幻覚だと分かってきた。何故か?
簡単だ。巴に触っていると視えないのだ。ブラーボも、白いアーマードライダーも、上級インベスも。
(分かっててやってる……ってのはないよな。俺、何も言ってねえし。じゃあ単純にからかい目的か? にしてはUFOキャッチャーん時も離さなかったし、徹底してるよな。無意識だったらマジ魔性の女)
「はぁ……こんなに遊んだの、初めてです」
「よかったじゃねえか」
「残
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