ビートライダーズ編
第9話 聖なる祝日の迷子 A
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て進み、碧沙ともども外に連れ出してもらうのが良策だ。
「では、お願いします」
巴は腰を折って礼をした。元の体勢に戻ると、どうにも居心地が悪そうな紘汰と目が合った。
歩く間、紘汰は何かと巴に話しかけてきた。静かになるとしゃべりたくなる質なのだろう。
巴は紘汰に聞かれたことにだけ答え、自分からは話題を振らなかった。するとまた紘汰が巴に話しかける。そのくり返し。
「ところで、何で巴ちゃんは“森”に来たんだ?」
巴は考える。本当の動機を言っていいものか。だが、この青年にウソをつくのは妙に良心が咎め、素直に言うことにした。
「わたし、ここには友達……と一緒に来たのですけど」
「碧沙ちゃん、だっけ」
「はい。あの子が龍玄の人の妹だって言ったら信じてくれます?」
「龍玄――ミッチの?」
「あの子、気にしてたんです、今回の新しいゲームのこと。お兄さんが何かしようとしてるって。だから一緒に来ました。それだけです。その程度です。ごめんなさい」
「う、う〜ん、そういう事情なら……にしても、ミッチ、妹いたんだな」
紘汰がぶつぶつ呟くのは、碧沙の兄のチームでの姿だろうか。
そうやって歩いていると、防護服を着た人間が数人、誰かを引きずるようにして歩いて来た。
紘汰が巴の腕を掴んだ。
「隠れてっ」
紘汰に引っ張られて木の幹に隠れた。防護服が、巴と紘汰が隠れた幹の前を横切っていく。
近づいて気づく。防護服が引きずっているのは、チームインヴィットのリーダー、城乃内だった。
「どこに行くんだ……?」
「気になるんですか?」
「実は俺、あの連中のこと調べに来たんだ。――追っかけてみるか。巴ちゃん、いいか?」
「構いませんよ。もしかしたら碧沙も保護されているかもしれませんから」
――巴と紘汰は幹から出て、防護服をこっそり尾け始めた。
城乃内を引きずった防護服を尾け、巴と紘汰が出たのは、テントがたくさん張られたキャンプ場のような場所だった。
(まさか人のいる場所があるなんて。あれってユグドラシル・コーポレーションの会社のロゴよね? 何でこんな場所に。しかも何か調べているような装備でなんて、どういうことかしら。これは葛葉さんでなくても知りたくなるわね)
「(巴ちゃん、隠れててくれるか。俺、あのテント調べてくるからさ)」
「(分かりました。お気をつけて)」
紘汰が、白衣の研究員や防護服の人間の目線を掻い潜り、一つのテントに入った。しばらくして一人の防護服がそのテントから出て、隣のテントに入って行った。
(変装して潜入って……古典的)
キャンプ地を見回す。碧沙らしき人はいない。テントの中にいるのかもしれないが、それ
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