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ロード・オブ・白御前
ビートライダーズ編
第6話 兄妹のぎこちない関係

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 クリスマス・イブを明日に控えた夜の呉島邸。

 光実は机に向かい、明日のクリスマスゲームの段取りを整理してルーズリーフに書いていた。

 いくら頭のいい光実でも、一度に多くの物事を運ぼうとすれば混乱もする。だからこうして紙に書いてアウトプットする。ガレージで黒板を使ってチームメイトに説明するのも、この癖に由来している。

「にーいーさんっ」
「うわっ」

 後ろから抱きつかれた。誰に? この呉島家で光実にそんなことができる人間は一人しかいない。

「なに? 碧沙」

 光実がふり返っても、碧沙の手は光実の両肩に置かれたまま。こういうスキンシップは、他人なら馴れ馴れしいから御免だが、妹ならば許せてしまう。
 当の妹である碧沙には何が何でも明かさないが。理由は簡単、恥ずかしいからだ。

 碧沙は笑って碧色のスマートホンを差し出した。画面にはDJサガラが映っている。


《Yeah! アーマードライダーたちによる全く新しいゲームが始まろうとしてるらしいぜ? 詳細は一切合財Secretだ! 謎めいたゲームを制すのは一体どのチームだあ!?》


「今度はどんなゲームをするの?」

 碧沙はニコニコと笑っている。怒っているわけではないが、何か圧力をかけようとしているのは、兄として分かる。

「ダメだよ。秘密」
「どうしても?」
「どうしてもダメ」
「けち」
「ケチで結構」
「ちょっとくらい教えてくれたっていいじゃない」
「秘密。それより今度、模試だろ? 勉強しとかなくていいの?」
「光実兄さんまで貴虎兄さんみたいなこと言うっ」
「兄弟だからね」
「いいもん。もう知らないっ」

 碧沙は光実から離れ、肩を怒らせて光実の部屋を出て行った。




 土足で歩くにはもったいないくらい上質なカーペットが敷かれた廊下から、足音が完全に消えた。
 光実は机に突っ伏した。

「これじゃ貴虎兄さんと同じじゃないか……」

 勉強しろ。他には構うな、考えるな。貴虎はお経のように言って聞かせる。だから自分は碧沙にとってそんな兄にはなるまいと、いつも考えているのに。

 しかしあれでいて貴虎も碧沙には甘い。自分が冷たくするのは、貴虎が甘くする分を補うためもあるのかもしれない――と自分のことなのに他人事のように光実は思考する。

 今頃、碧沙はベッドに寝転がって枕を抱き締めて怒っているのだろう。最悪、泣いているかもしれない。
 それでも謝りに行けない自分は意気地なしだ。

 光実は頭の下敷きにしたルーズリーフを取り出した。
 別のことに没頭して現実を忘れたい時ほど、内容は頭に入って来なかった。
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