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ロード・オブ・白御前
ビートライダーズ編
第4話 錠前ディーラーとお嬢様
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体に言えば、実験動物。
 時には倫理を超える「検証」も、碧沙は歯を食い縛って耐える。

「ここまで想われているくせに気づかないなんざ、貴虎も悪い男だな」
「お、想われて、なんて、そんな」
「分かんねえぞ? 好意は捧げられて当たり前だとか思っていそうだ、あの坊ちゃん育ちは。――第三者の俺としては、あんたの献身を見てる分、気づかねえ貴虎に苛つかないこともないんだぜ」

 まるで口説かれているようだが、これもリップサービスだと知っている。
 兄への献身に加え、気になる相手の満更でもない態度が、碧沙をもっとユグドラシルに縛りつけると、あちらは知っているから。

「被験者始めた頃もそうだった。中学上がりたてのガキなら泣いてスト起こしてもおかしくないのに、お前はケロッとした顔で。俺にも湊にも普通に話しかけてきたんだよな。自己犠牲をためらわないのは、さすが呉島貴虎の妹ってか」
「わたし、は、わたしの体が、知らない誰かを救うのに役立つなら、それでいいんです」
「そうかい。――ベルトはないんだ。ほら、帰った帰った。こんなとこで油売ってるとお兄様が怖いぜ」
「? 貴虎兄さんは優しいですよ」
「ブラコン」
「自覚はしてます」

 碧沙はアルカイック・スマイルを崩し、心からの苦笑で返した。
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