ビートライダーズ編
第3話 巴と碧沙
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けで、片方は背中を向けて踊る。時に前後が交替するだけ。
碧沙に負担がかからないよう、ジャンプやねじりは極力割いた、シンプルな構成だ。元よりネットで流れている動画で、比較的簡単なダンスを真似た我流のダンスだ。
ちなみにスカートがめくれてもいいよう、下には体育のホットパンツを履いてやっている。
道行く人々はそれでも足を止め、巴の、碧沙の踊る姿を観る。
最初は名うての進学校の制服を着崩した巴たちに驚いて。そこから先は、踊っているのが自分なので、客の気持ちは定かならない。
ただ碧沙と、どんなことであれ同じことをして楽しめるなら、巴は何でもよかった。
楽しい時間ほど早く終わってしまうのは、相対性理論も語る通りで。
巴と碧沙のダンスタイムはあっさり終わってしまった。
二人して観客に頭をていねいに下げると、観客は拍手してくれた。
「碧沙。体は大丈夫? 息苦しかったりしない?」
ベンチに座ってタオルで汗を拭く碧沙の顔を、巴は覗き込んだ。
「ん、ちょっと疲れたけど。こんなに踊れて、気持ちいいぐらいよ」
碧沙の、巴にしか見せない顔での、笑顔。これを見られた時は、日々の苦労も小さなものに感じられる巴だった。
「それにしても、日々お客様が増えていってる気がするわね。どうしてかしら」
碧沙が、まだぽつぽつと残っている見物客たちに目をやった。
「きっと他のビートライダーズのダンス離れが進んでるからよ」
インベスゲームに続き、アーマードライダーなるやり方まで流行り始めた。現在アーマードライダーを擁するチームは、鎧武、バロン、インヴィット、レイドワイルドの4チーム。実質、彼らがランキングを牽引していると言ってもいい。チーム鎧武など、二人もアーマードライダーがいる。
今や純粋にダンスで客引きをしようとするチームはいかほどか。ビートライダーズの意味が着々と見失われているのを巴は感じていたが、口にはしなかった。踊るチームが自分と碧沙だけになっても、巴には、碧沙と踊っていられればそれでいいのだ。
巴の関心はそれより、別のほうにあった。
(アーマードライダー、ね)
それになれたならば、碧沙と並んでいても許されるようになるだろうか。碧沙と並ぶに足る関口巴になれるだろうか。
「巴?」
「何でもないわ。ちょっと考え事。さ、帰る準備をしましょう」
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