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一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第一章―剣の世界―
第9話?予想外の事態
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こまで腑抜けてないよ僕は。……多分」
「おいおい……」

?カイがオーバーリアクション気味に反応する。すると、今まで僕の左後ろにいたコウが僕の隣に立ってこっちを見ながら口を開いた。

「……大丈夫だ。俺たちは雑魚の相手をするだけでボスとは戦わない。つまりそこまで危険ではない、ということだ」
「分かってるよ、でもなんかねぇ〜……」

?いまだに緊張が解れずにいる僕に今度はカグヤが僕の右手を両手でそっと握り、優しく声をかけた。

「みんな一緒だよ。だから、みんなで頑張ろ?」

?カグヤの行動に目を見開いて呆然としている僕の心に彼女の言葉がじわじわと溶けていく。気付くと、緊張で震えていた手がおとなしくなっていた。
?僕は笑顔を作りながら彼女の顔をもう一度見た。

「……うん、そうだね。みんなで……頑張ろう」

?そう言うと、僕の隣でカイがニヤニヤしているのに気づいた。いつの間にか僕の隣からカイの隣に移動しているコウも心なしか口の端が少し上がっている気がする。

「いやあ、いいねえ。甘酸っぱいねぇ、青春だねぇ、ユウ君。いいよいいよ〜、お兄さん、そういうの嫌いじゃないぜ」
「……そっちの攻略も頑張れよ」
「なんの話だよ!」

?なんてふざけたことを言っていると、ディアベルの話が終わっていたらしく、彼は僕たちに背を向けていた。

「――――行くぞ!」

?ディアベルが武器を持っていない左手で大扉を思いっきり開けた。


◇◇◆◇


?ディアベルが大扉を開けた瞬間、レイドが雪崩れ込むように大扉の先へ突入していく。僕もそれに紛れていくが、何かデパートのバーゲンに群がるオバサマたちみたいだ、なんて思ってしまった。

?入ってみると、ボス部屋は僕が思っていたよりも奥に長く、広かった。そして何より暗い。僕たちが入ってきた扉からの光で大体どのくらいの広さなのかは判るが、正確には把握する事ができない。こんな暗いとこで戦うのか、と思うと無理な気がしてくる。
?そんな気がした直後、ボス部屋の左右の壁にある松明が手前にあるものから順に火がついていった。あぁそういうシステムなのね、と安心していると一番奥にある松明も火がついた。暗いときにはわからなかったが、今は明るくなったのでよく見える。
?ボス部屋の奥を見てみると、玉座に今まで見たこともないような大きさのモンスターが座っていた――おそらくあれが第一層のボスだろう。その姿を見るだけで体が勝手に武器を握る握力を強くする。攻略会議で名前は出ていた。えっと、確か……《イルファング・ザ・コボルドロード》だった……はずだ。
?なんて頭の中で攻略会議の内容を振り返っていると、最前列として突進した鉄板を思わせるシールドを掲げる戦槌(ハンマー)使いと、彼に率いられるA隊が玉座
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