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静かな気持ち
第六章
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出て来た。
「ナンシー、やっぱり羨ましいわ」
「私も。彼氏が欲しくなったわ」
「全くよね」
 人が持っているものは自分達も欲しくなったりする。今の彼女達もそうであった。だからついついそう思ったのであった。そう考えながら彼女達もあれこれ話しながら自分達の家に帰るのであった。
 ジョゼフとナンシーは並んで冬の道を歩いている。冷えた道を茶色の枯葉が覆っている。二人はその上を並んで歩いて話をしていた。
「今日はどうしたんですか?」
「うん、考えるところがあってね」
 ジョゼフはナンシーにそう答える。
「うちのシェフが日本の味を取り入れたケーキを出してくれてね」
「日本のですか」
 ナンシーはそれを聞いて目をぱちくりさせた。話がどうも読めなかったからだ。
「そうなんだ。それを食べてわかったんだ、調和が大事だってね」
「調和、ですか」
「そうなんだ。だからだよ」
 彼は言う。
「一人でね、こうして来たんだ」
「そうだったんですか」
「今までは君のことを考えないで車や馬車で来ていたけれどね」
 自分でもそれを認めてきた。そのうえで言うのであった。
「今日は一人で来てみたよ」
 そう言いながらナンシーの顔を見てきた。背が違うので見下ろす形になっていた。ナンシーはナンシーで彼を見上げていた。
「どうかな、それで」
「有り難うございます」
 それに対するナンシーの返事であった。にこりと笑っている。
「実は私」
「うん」
「こうして二人で歩きたかったんですよ」
「僕とかい?」
「はい。今それがようやく適って」
 笑みを浮かべながらの言葉であった。
「何か。嬉しいです」
「嬉しい?」
「はい」
 こくりと頷く。
「だから。また一緒にこうして歩いてくれますか?」
「僕の方こそ」
 ジョゼフもそれに応える。
「こうして一緒にね。二人で」
「はい、二人で」
 ナンシーも言う。
「歩いていきたいですね」
「そうだね。けれど」
 彼は言う。
「こうして歩いているとこの道は結構寒くないかい?」
「そうですか?」
 ナンシーにはあまり実感がない。いつも歩いているせいであろうか。
「私は別に」
「いや、寒いよ」
 しかしジョゼフはそう主張する。
「それもかなりね。だから」
「だから?」
「僕の家に来てくれるかな」
 こう言ってきた。
「伯爵のお家に」
「どうかな」
 それが本音であったのだ。寒いと言ったのは口実で彼女を家に誘いたかったのだ。それが今ナンシーにもわかった。
「はい」
 ナンシーは笑顔のままそれに頷いてきた。
「それでしたら」
「ケーキがあるよ」
 今度はケーキについて言うのであった。
「その日本の影響を受けたケーキが」
「そんなにいいんですか」
「だから僕が
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