過去‐パスト‐part1/少年の悪夢
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変な夢を見た。地球の夢だ。自分が生まれ育ち、怪獣や星人の脅威に幾多もさらされてきた世界。サイトはそんな世界でも生きてきた。どんなに嫌なことや辛いことがあっても、彼にとってこの世界は故郷であることに変わりなかった。
目覚まし時計がうるさく鳴り響く。寝起きの人間には時には憎たらしくも思えるその音。サイトはたまらずロボットネコの目覚まし時計の目覚まし停止ボタンを押す。本来ならこの音を聞いて起き上がらないといけないのだが、抜けてるところの多いサイトは簡単には起きない。「あと五分…」とベタでお決まりのセリフをぼやくと同時にばたっと倒れ、また夢の世界へとダイブしようとした。いや、すでに夢の世界なのに夢の中へダイブするのもおかしいが…。
無論、これを許しておけない人はどの家庭にもいるものだ。サイトの部屋に、何者かが無断で入り込んできた。扉から忍び足で入り込んだその人物の両手には、ある凶器が握られていた。
そう、今のサイトのように寝起きの悪い人間にとって最大の凶器が。
「秘技…『死者の目覚め』!」
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン!!!!!
「ぎゃあああああああああああああああ!!!!?」
ご近所に聞かれても仕方ないほどのうるさすぎる轟音に、さすがのサイトも目を覚ました。
「おはよう、サイト。やっと起きたのね?」
ようやく眠気が覚めても、まだ視界がはっきりしていなかったサイトだが、自分が眠っていたベッドのすぐ脇に母…アンヌがいることだけは認知できた。
「んああああ〜…母さん、その起こし方はやめてくれよ…心臓に悪い」
おたまでフライパンを叩く音を、耳元で滅茶苦茶聞かされたお蔭で、耳にキーーーンと音が色濃く残っているため、死人のような悲鳴を上げたサイトは耳を押さえながら母を睨むが、対するアンヌはすまし顔だ。
「あら?何度普通に起こしてもすぐに『あと五分』なんてありきたりなこと言って眠る寝坊助さんのために誰が苦労していると思ってるのかしら?」
「でも、さすがにご近所迷惑だろ…」
それに死者の目覚めって昔自分がハマってたゲームにそんなネタがあったような…とちょっとゲームオタなところがあるサイトがそう思ったのは余談である。
「むしろ遅刻対策になるって、お隣さんから感謝されたくらいですけど」
ちっ、とサイトは舌打ちする。お隣さんめ…母ちゃんに何かしら丸め込まれたに違いないな。でなけりゃ半径100m以上の民家にまでうるさく響きそうな今の騒音を肯定するわけがない。
ふと、サイトは母を見て、奇妙なセンチメンタルに駆られた。確かにアンヌは血の繋がった母親じゃないが、元の両親が怪獣災害で亡くなり、中学時代に引き取られてからもう数年は経ったのに…どうしてか目にじんわりときた。
「何じろっ
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