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FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
幽鬼の支配者編
EP.21 動乱
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……ああ」
「それを聞いてさ、俺はがっかりしたよ……『対等のつもりだったのは俺だけなのか』ってね」
「……え?」

 目を瞬かせ、エルザはワタルと向き合う。自分の目標としている当の本人に、その目的が叶っていると言われたのだ。
 達成感など微塵も無かった彼女は、それを否定しにかかる。

「対等な訳ないだろう! だって、お前は私よりずっと強いし……」
「俺は別に強くはない。自分の弱さを認めたくなかっただけのガキだよ、俺は」

 だからお前に当たってしまった。そう謝るワタルに、エルザは身を焼く激情に身を任せて口を開く。

「ああ、そうだ! お前は自分の弱さを人に見せたがらない。だから私は強くあろうとしたんだ! お前が安心して背中を任せて、一緒に重荷を背負えるようにな! ……でも幾らそうしようと思っても、逆に私はお前を傷つけてしまう。ならば、いっそのこと……」
「エルザ!」

 生真面目ゆえに恋慕と自責との間で板挟みになり、底なし沼にはまってしまったかのように深みにはまって抜け出せなくなってしまっていたエルザを見ていられず、ワタルは一喝した。
 自責という感情に身を焼く彼女の姿に先程までの自分を重ねていたワタルは怒りと悲しみに顔を歪めていたが……ふと、表情を和らげる。

「お前は優しいな」
「優しい?」

 優しい事だって強さの内だというのは、エルザにも分かっている。だが、それを今言う意味が分からなかった彼女が聞き返すと、頷いたワタルは続けた。

「ああ。お前は俺の事を気遣ってくれたじゃないか。俺はさっき、そんなお前に嫉妬や劣等感しか持てなかったんだぜ?」

 お前は俺より心が強くて、ずっと優しい奴だ。そう言い切ったワタルに、エルザは俯いた。

「(ワタルが……あのワタルが私に嫉妬していた?)」

 ワタルへの嫉妬はエルザも抱いていたのだ。何度挑んでも勝てないワタルが自分に対して嫉妬していたなど、にわかには信じられなかった。

 でも、それが本当なら……ワタルはずっと自分の事を見ていてくれた、という事になる。
 それはこの上なく嬉しい事なのだが……あまりに自分に都合がよすぎて、エルザにはいまいち信じられなかった。本当に神とやらがいるとして、それが自分に微笑むなど、かつての奴隷仲間たちを救えなかった自分には有り得ないと思っているのだ。

「……もし……」
「……」

 だから、エルザはある(・・)決意をして一言だけ言うと、顔を上げた。
 情熱的な緋色の髪に負けないほど、燃えるような表情のエルザに、ワタルは目を逸らさず、黙って待っている事しかできない。
 見た事の無い表情をする彼女から目が逸らせなかったのだ。

「もし、ワタルが本当に私の事を対等だと思っているなら……証拠をくれ」
「証
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