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無欠の刃
下忍編
中忍試験
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きなりカトナは肩をがしりと掴んだ。
 そして口を開けようとして、けれど、口を開くことはできなかった。
 違うよと、言いたくて、言えなかった。
 再不斬には守るもの…白と君麻呂がおり、だからこそ強く、だからこそ彼は今回の戦いで退いてくれた。
 白だけが再不斬のそばにいたならば、きっと再不斬は逃げなかった。
 白が死んだならば一矢報おうとし、白が生きているならば白を支え、共に敵を討ち取らんととした。
 けれど君麻呂がいたからこそ、再不斬は止まった。
 君麻呂という儚き存在を知り、再不斬は失うことを覚え、退くことを…逃げることを覚えた。
 君麻呂がいるからこそ、彼らは止まれて、今こうして生きているんだよと言いたくて、でも止めたのは、カトナがそれを言っても無駄であり。

 言うべき人が、君麻呂の頭を撫でたからだ。
 言っている人が、君麻呂の手をつかんだからだ。

 「いくぞ」

 低い、耳を打つ暖かい声。

 「急ぎますよ」

 高い、まるで女の子のような、澄んだ純白の声。

 「はい!!」

 再不斬の声に、嬉しそうに返事をし、白に手を引っ張られた君麻呂はかけていく。
 その顔に浮かぶ満面の笑みとは対照的な、どこか物悲しそうな笑みが浮かんだとき、サスケが、その後頭部をはたく。

「俺らも行くぞ。先に報告いった六班に…ナルトに遅れをとってたまるかよ」
「負けず嫌いだよね、サスケは」

 そういって、カトナは笑った。



 欲しいものがあると、いつもそれがいるものかどうかを確かめた。
 例えばくだらない漫画とか、食べ物とか、そういうもの。生きるのには必要ない娯楽、道楽のもの。どれもこれも、役にたたないくせに、どうしてだろうか。それが時たまに、とても欲しくなるのだ。
 私にもちょうだい、と。
 子供のように喚きたくなるときがあるのだ。我に返れば、それはとてもくだらなくて、ゴミにしかならなくて、自分が何故欲しがったのかわからないほどにバカらしいのに、どうしようもなく、欲す時があった。
 だから、要らないものは、欲さないように気を付けた。
 欲しがることは我が儘だ。自分には我が儘は許されてはいない。それは、自己の否定につながる。
化け物としての部分を確保し、緩がない強者としての自己を確信させ、誰にも負けない忍であることを自負させる。
 そうすれば何も怖くない。
 死ぬことも、失うことも、何もかも。

 もともともっていなければ、それは失わないも同じだ。
 …たとえそれが心であっても、持っていなければ、捨ててしまえば、隠してしまえば、それはないのと同じだ。



「中忍試験?」
「そっ、ほんとはもう少し待つべきなんだろうけどさ。お前等なら、絶対に大丈夫でしょ?」

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