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乱世の確率事象改変
龍が最期に喰らうモノは
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大好きなオレが一つだけ残してやったぜ? 喜べ」

 食事がほぼ全て片付いた皿の中に、小さな赤い果実が一つ、味付けされたシロップのおかげかてらてらと輝いていた。
 ひょいとヘタを指で抓まんで、劉表は机に片方の肘を突いたまま、ねねの前にソレを差し出した。
 幼い体躯に何故か似合う妖艶な笑みに、ねねは劉表がいつもしているように、口を開けて舌を出した。

「お前にはオレの力を与えた。頭を回せ、口を動かせ、全てを操る軍師であれ。そうして飛将軍と共に乱世と治世を切り拓き、自身の望む世界を手に入れろ」

――オレの、もう一人の愛娘。

 赤い舌に乗せられ、滑り込ませた小さな果実は甘い。また頭を撫でられたねねの表情が綻ぶ。
 ただ……口を開いている間に頬を伝って流れ込んだ一つの雫が、甘い幸せの中に、別れの哀しみを含ませていた。



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