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乱世の確率事象改変
龍が最期に喰らうモノは
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す。ゆ……董卓は帝と少しばかりの関わりがあり、昏い政略戦争から一時的に助けたという恩があるのです。それを穢した連合側は通常ならば不快感を持たれて当然のモノ。長い時間を掛けないと澄み渡らない澱みのようなモノになっているはずなのですよ。
 ねねは練兵と恋殿のお世話ばかりしていて会った事はありませんが、帝がどんな人柄かは聞いていたのです。温厚にして聡明、徳に溢れ、成長すれば確実に良き皇帝として大陸を治める、と。だから、曹操は劉備と帝が繋がる事が嫌なのです」
「正解。あいつは漢を殺すつもりだ。それもめんどくさくて、誰もやらないような回りくどい手で、自分の名を傷つけずに、な。力だけで制圧するなら、劉協様の反抗なんざ気にも留めないはずだ」
「最後に行き着くのは……新たな皇帝?」
「それも一つだろ。多分もう一つあるけど……そいつについてはゆっくり考えたらいい。思考を回さねぇと人は成長しねぇ。答えを教えて貰う楽な生き方なんざすれば、後で大損する事になるぞ」

 諭されて首を傾げるねねは、とりあえず疑問は置いておく事にした。

「オレは霊帝が身罷られた時に追悼を込めて一度だけ劉協様に会いに行った。その時分かったが、劉協様は聡い。帝のなんたるかを理解していても、人の昏い部分を一番近くで見続けてきたとしても、全てを諦観はしていない。自分も何かしたい……なんて思わせられたらこっちの勝ちだ。連合での劉備についてを擁護し、心象を上げておけば曹操に対しての毒に出来る。
 問題は黒麒麟だ。劉備の元から離れた大徳の将に、劉協様はきっと興味を持っている。洛陽の民に迅速な救援を行ったのはあの男らしいから、元々話してみたいとも思ってただろう。そいつが曹操の元に居るってのは、本当にだりぃこった」

 めんどくさい、というように劉表は舌打ちを一つ落とした。

「帝に会いに行く……というのは劉備についてと孫策への嫌がらせが狙いの全てでは無いですな? 董卓の真実を知っているねねを帝と会わせないのはその狙いの為」

 突然の指摘。
 ねねの思考はまだ回る。利を計算した上では、それだけでは命を賭けるに値しないと判断した。
 劉表の口元は徐々に吊り上る。ペロリ、と舌で唇を一舐めした。

「キヒヒ♪ 当たり前だ。答えが出たなら言ってみろ。お前の成長をオレに見せてくれ」

 顎に指を当て、ぎゅうと眉根を寄せたねね。
 劉表は待っている間、鎮痛薬で舌が麻痺しない内にと残りの甘味を口に運んで行った。
 幾分の後、ハッとしたねねの顔は青ざめた。恐ろしい、というように、劉表の顔をまじまじと見つめて。

「……そ、曹操を……孫策と龍飛の仲介役にさせて、半月、いえ、出来るなら一月以上の期間洛陽に縛り付け、袁家との戦への参加を遅らせる。そして……孫策と周瑜が留守の内に……ねねと恋
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