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Chocolate Time
第2章 秘密の恋人
2-3 大好きな人
大好きな人
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「今日もさ、ケン兄、」夕食の時にマユミはケンジに囁いた。
「ん?」
「あたしの部屋でチョコレートタイムしようよ」
「わかった。風呂から上がったら行くから」

 二人を見て、母親が思いきり怪訝な顔で言った。「二人で、何ひそひそ話してんの?」
「え? 別にいいだろ」
「朝からも言ったけど、あんたたち、ほんとにそんなに仲良しだった?」
「別に普通でしょ? ママ。兄妹だったらこんな事」
「普通かしら……」
「普通だよ」ケンジも言った。
「二人だけで街でデートする高校生の兄妹なんかいないわよ」

「ごっそさん!」ケンジは食器を持って立ち上がった。「じゃ、俺、風呂に入るから」
「はいどうぞ」母親は無感情な抑揚のない返事をしてケンジの背中を見送った。
「あたしも」マユミも立ち上がった。母親は彼女の背中も無言のまま見送った。

「あなたどう思う?」母親は隣で片身を食べ終わった焼き魚をひっくり返していた夫の顔を見た。
「どうって?」
「あの二人」
「いいんじゃないか。ケンカするより」
「そりゃそうだけど……。なんか、兄妹っていうより、恋人同士って雰囲気さえ感じるんだけど……」
「勘ぐり過ぎだ」
 母親は小さく肩をすくめて、テーブルに置かれたドレッシングを手に取った。


「マユ、俺さ、おまえのショーツ、こっそりずっと隠し持ってた」
「気づいてたよ。一枚なくなってたの。でも、それって洗濯の時になくなっちゃったんだ、って納得してた」
「そうなんだ」

 マユミの部屋で二人は下着姿のまま語らっていた。ケンジは手にコーヒーのカップを、マユミはいつものチョコレートをつまみながら。

「でもつい最近、そのショーツをケン兄が持ってる事を知った」
「え? ど、どういう事だ?」
「あたし、見たもん。ケン兄があたしのショーツに鼻を押し付けながら一人エッチしてるの」
「えっ!」ケンジは赤面した。「み、見たのか?」
「うん。こっそり見ちゃった。偶然だけどね」
「ぐ、偶然?」
「夜中、物音がして目が覚めて、こっそり覗いたんだ」
「そ、そうなのか……。け、軽蔑しただろ? その時」
「ううん。だってケン兄オトコだもん。しかもそういう年頃だし」
「そ、そりゃそうだけど……」
「エッチに飢えてるんだ、って思った。でもそれって当たり前でしょ? 高二なんだし」
「ご、ごめん。マユのショーツ、勝手に使っちゃって……」
「その時は、それがあたしのだって気づいてなかったけどね。でも今思えば、何だか嬉しい」
 ケンジは照れたように頭を掻いた。
「でもさ、ケン兄は、それがあたしのじゃなくても興奮してた?」
「今となってはそれは……わからない……」
「違うコの下着でも興奮してたのかな?」
「……たぶん」ケンジはうつむいた。


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