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無欠の刃
下忍編
親心
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かったし、気づこうとはしなかったけれど。

 けれど、その気持ちは、暖かくて、優しくて、ふわふわしていて、途絶えることはなく、表には出ないけれど、確かに再不斬の心を満たしていた。
 それは紛れもない、薬にも毒にもならない、平凡な―けれど、ありふれているからこそ、何よりも大切な水のようなそんな感情。

 まったく、鬼人も落ちたものだと思いながら、カトナは揶揄する。

「…ツンデレ」
「殺されてぇのか」
「私、貴方の大事な二人の恩人」
「俺がその程度で揺るぐと思うか」
「兼、友達」

 少しばかり、再不斬が動揺する。
 彼は二人を大切に思っていて、二人が忍びである前に子供であるという事実を分かっている。彼らが友達というものが欲していることもまた、うすうす気が付いていた。
 そんな二人が、友達と呼ぶ子供を傷つけることは、流石に躊躇われたらしい。
 その行動の、なんと忍びらしくないものか。これがあの、霧がくれの鬼人と謳われた再不斬だとは、到底思うことが出来ない。まるで普通の人間と変わらない、自分と夢を語り合った同じ生徒を殺し合い、両手を血でそめた男になんて見ることは出来ない。

 今、カトナの目の前にいる男は、ただの、『自分の子供を心配する過保護な父親』にしか、見えない。

 人は変わることが出来る。その言葉を体現しているなぁと思いながら、カトナはくすくすと笑う。 

「やっぱり、親っぽい」
「…うるせぇ」

 そうやって、こちらを睨み付けて照れくさそうにする姿は、血がつながっていなくても、二人との関係は確かに強固だと確信させるには十分なもので。
 よかったねと、カトナは、今頃ナルトと話しているであろう白と君麻呂に思いをはせ、少しばかり彼らを羨んだ。

 私の父親も、こんな風ならよかったのになぁ。
 そうしたら。


 ナルトは九尾の人柱力になんてならなくてすんだのになぁ。

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