クズノハ提督切迫
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、くずのはクンかな? 初めまして』
「あ、はい初めまして。葛葉です」
『そちらにいる倉岡の上司の安藤と言います。よろしく』
「……安藤?」
「あ、こら呼び捨てなんて失礼だぞ」
『良いんだよ倉岡。彼には多分、思い当たる人がいるんじゃないかな?』
葛葉にとって何度も聞き憶えのある名前。昨日一昨日だけでなく、つい先ほどにもメール越しに。
「まさか!」
『娘が世話になってるよ。今後とも良き友人としてよろしくね』
葛葉は、まさか自分が上司の娘と友人だったとは、とただ驚くばかりであった。
『……今回はまぁその……娘の不祥事と我々の浅慮について謝罪したいが為に失礼ながらもこうやって話してーー』
「え、え? どういうことですか?」
思わず倉岡に視線を移すが、倉岡もただ首を傾げるのみであった。
『何? 順を追って説明するべき? 分かった。では簡単に説明して行こう、まずは重要機密である戦艦長門の件について……』
受話器の向こうで誰かと話しながらも、安藤の父親らしき上司は説明を始めた。
『あれは娘が重要機密と知らずに君たちに話したのだよ……。簡単に喋ってしまうのもどうかと思うが、こちらの情報伝達に不手際があったことも反省せねばならない。迷惑をかけたね……』
「え、じゃあさっき君が話していたのは?」
「う……嘘じゃないデスよ一応?」
葛葉は目を泳がせた。
『それでもうひとつВерный(ヴェールヌイ)の件だが、これは娘づてに君の案を聞いたよ。是非とも詳しく聞かせて欲しいのだが』
「そ、そんな簡単に方針を変えて良いのですか?」
驚いた倉岡が思わず反論した。
『倉岡、我々が最も重要視するべきものが何か忘れてはいないか?』
電話からの声が少しだけ低くなる。
「それは……この国の海の安寧と秩序です」
『Верный(ヴェールヌイ)がそれに必要だ、というだけで十分な理由にならないか?』
倉岡は静かに肯定した。
『というわけでだ葛葉クン……。散々君達を追い詰めた挙句、非常に身勝手で虫のいい話だとは思うだろうが……』
「構いません。ただし、一つ条件を提示してもいいですか?」
葛葉は知らぬ間に笑みを浮かべていた。
『非礼の詫びとして、出来ることならば最善を尽くそう』
葛葉は強く、そして声高らかに言った。
「響……Верный(ヴェールヌイ)は俺が貰う! 異論は認めない!!」
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