クズノハ提督切迫
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来れば……」
そうこうしているうちに、倉岡が携帯電話をポケットに入れて話しかける。
「いやぁ、すまない。電話が長引いてしまって」
「ずっと話しててくださってもよかったんですよ?」
葛葉はわざとらしい皮肉で返した。
「そういう訳にも行かないさ。君がどこで長門について聞いたか教えてもらわないと……」
倉岡の表情が再び険しくなる。
「実は大学の教室で聞きました」
葛葉が素直に口を開いた。予想外に軽い告白に戸惑いながらも、倉岡は続けた。
「え、じゃあ誰からーー」
「偶然です」
「……え?」
「誰かから聞いたのではなく、偶然俺の耳に入って来ただけです」
怪訝な顔で倉岡が聞き返す。
「偶然……? 大本営の重要機密が君達の通う大学の教室で偶然聞こえてきたというのか?」
「ええ、そうです。(偶然どっかの誰かが教室内で言ってたのが聞こえただけ。嘘は言ってない筈……)」
葛葉は心の中で言い訳しつつ、毅然と答えた。
「では既に情報が漏洩していた……ということか」
倉岡は一人納得した様に頷いた。
「まぁ、この件については後から考えるか……」
倉岡はネクタイを整えて、葛葉の腕にしがみつくВерный(ヴェールヌイ)に視線を移した。
「話を戻そう。……その子を引き渡してくれ」
「!?」
葛葉の袖を掴む力が強くなる。
「む、無理矢理戻しますね……」
「元々はこちらが本件だったからね」
葛葉の望みが絶たれた。
「……嫌だって言ったらどうします?」
「悪いがこれは上が決めたことなんだ。何が何でも従ってもらう」
倉岡が歩き出す。葛葉が少女を腕から背中へと庇う。
「強引なのは嫌われますよ?」
「生憎、嫌われ役は慣れていてね」
目と鼻の先。倉岡が手を伸ばせば、葛葉の胸ぐらを掴める程の距離。
「邪魔だ。そこをどいてくれ」
倉岡の手が迫る。葛葉をねじ伏せるかの様に大きな手。体格では明らかに不利。葛葉が拳を握る。
(答えを間違えたか……? あれだけ大口を叩いたのに……あれだけこいつらを信用させたくせに……結局俺は守れないのか?)
ーーRRRRR……
その瞬間、二度目の機会音が鳴り響いた。
「……っ!」
「……こんな時に一体……? ちょっと失礼」
倉岡はズボンのポケットから携帯電話を取り出し、会話を始めた。
「あ、もしもし倉岡です。あ、はい!」
再び壁を見つめながら直立不動した辺り、相手は先程の電話相手と同じなのだろう。
「え? 了解しました……葛葉君、君にも聞かせろと」
「え?」
倉岡がスピーカー機能を付けて、皆に聞こえる様にする。
『えーと
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