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クズノハ提督録
クズノハ提督切迫
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んだい?」
倉岡の表情が今までとは一転、厳しいものへと変わった。そのせいか、雰囲気も張り詰めはじめる。
「え……な、何で」
「何故君がそれを知っているか、と聞いてるんだ!」
今度は葛葉が迫る倉岡に圧倒される。
「え、そんな……皆知ってることじゃ……」
理由も分からずに責められ言い淀む葛葉に苛立ち、倉岡が右手で頭をかきながら説明する。
「……戦艦長門の消失……いや、失踪は重要機密事項。大本営の中でも僕を含めたごく一部の人間しか知らないはずだ」
「なっ!?」
「だから……君のような新人提督が、この事実を知っているわけがないのさ。さぁ、どこでそれを聞いたのか教えてもらおうか!」
倉岡の声に葛葉が気圧(けお)される。
「そ、それは……」
「心配することはない。ここで素直に教えてくれれば君を咎めることはしないよ」
「……」
葛葉は歯を噛み締めて黙り込んだ。鎮守府に沈黙が訪れる。


ーーRRRRR……


「……っと、電話だ」
倉岡がポケットから電話を取り出し、話を始めた。態度から察するに倉岡の上司であろうか、背筋を伸ばし壁の一点を見つめながら、やたらとはっきりした口調で応答している。
「……そうだ、この隙に」
葛葉もポケットに手を入れ、中のスマートフォンを操作する。気付かれぬよう、視線をできる限り倉岡達に向けながら慣れた手付きでメールを送る。
「司令官さん? 一体何を……?」
「今、安藤にメールを送った。重要機密事項とかいう噂の戦艦長門の件はどこで聞いたんだ? とか、今ここで起きてる事とかな。少しでも情報や策が得られればいいんだが……」
いまだ直立不動で見えない相手と話す倉岡から視線を外さぬまま、葛葉は答えた。
すると、間髪入れずに葛葉のポケットが震える。
「相変わらず早いな」
すぐ様メールを見た。

『随分大変そうなことになってるな。まぁ、頑張れ。』

「……」
「……」
「……」
「……大丈夫?」
響の不安気な声が葛葉に突き刺さる。
「……嗚呼、もう駄目かもしれない。こんな無能な提督でごめんよ……」
葛葉は頭を抱えて項垂(うなだ)れた。
「司令官さん! 諦めたらそこで色々終了なのです!」
「大丈夫よ! 司令官、私がいるじゃない!」
「お前ら……こんな状況でも俺について来てくれるのか」
「はわわ……」
「えへへ……もーっと撫でてもいいのよ」
葛葉は元気のない笑顔で二人の頭を撫でた。
「……私のせいで……」
「俺が勝手に言い出しただけだ。お前のせいなんかじゃないさ。それに……」
葛葉は目の前の通話中の男を見据えて呟いた。
「このまま機密事項の問題だけで済ませることが出
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