夫になった訳だが……どうしよう?
52話
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「あ、マキナ起きた?」
目が覚めるとイザナミが隣にいた。どうやら俺より早くにハンニバルの方を終わらせたらしいな。とりあえずジルの方はオラクル細胞の侵食は止まったようだし、苦しんでいる様子も無く成功したのだろう。
イザナミは別段疲れた様子もなく、むしろ嬉しそうな笑顔すら浮かべている。そして、その後ろにハンニバルが正座して……い……る?
「は、はじめまして、マキナさん!!僕、レオナルド・アンダーソンっていいます、レオって呼んでください」
……ん?あ、ああ、そうかハンニバルが喋ったのか。意識やらは取り戻せても姿は元に戻らないんだったな……ってことはレオと名乗った彼がジルの弟なんだろうな。しかし、あの物騒なハンニバルから少年の声が聞こえてくるというのは違和感以外のなにものでもない。
「レオ、マキナさんじゃないでしょ?」
イザナミがレオに嗜めるような口調でそう言うとレオはしまったというような表情を浮かべて……っていや、表情ではなく動きなんだがな。なんというかハンニバルが人間のように感情を持って反応するというのは慣れない。
「ごめんなさい、お母さん。お父さんって呼ばなきゃダメだったよね」
「ちょっと待ってくれ」
今、変な単語が聞こえたぞ?
「いやーこの子達を引き取ろうと思うんだけど、いいかな?」
……本当にちょっと待ってくれないか。状況が全く読めないんだ。
「う……ううん……」
ちょうどいいタイミングでジルが目を覚ました。これで一旦場の空気をリセットできると考えた直後、イザナミがジルの両肩を掴んでこう言った。
「ねぇ、私達の娘にならないかな?」
「はい?」
うん、結局のところどう足掻いてもイザナミはイザナミのままだと実感できたな。
「で、状況を整理するとジルとレオはマグノリア・コンパスって孤児院のような場所で暮らして、ゴッドイーターとしての適合試験時にマグノリア・コンパスの所有者でもあり、お前らの母親代わりだったラケル・クラウディウスに何かしらの細工をされてアラガミ化。その後、見たことも無いアラガミに襲われていたところをレオがジルを抱えて逃げ出したってことだな?」
「はい……」
レオは悲しげに項垂れながら返事をする。確かにたかだか12歳にして人としてまともな人生がおくれなくなり、信用していた相手に裏切られたのだから落ち込むのも当然か。
「それで、イザナミはレオとジルを可哀想に思ったから引き取りたいと……」
「そういうこと、ダメかな?」
「ダメ以前に母親代わりに裏切られて殺されそうになったレオやジルが、素性も知れないアラガミの夫婦の養子になることを望むかって話じゃないのか?」
「あ、あの、僕は構いません。イザナ、じゃなくてお母さんはそういう事をしない人だって分かってるから……」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ