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気が付けば、遊戯王世界
プロローグ

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おかしい。
そう思ったのは、自分がまったく知らない部屋で遊戯王のカードを片手にデッキ構築していたからだ。
不意に手からカードが零れ落ちた。


「夢でも見ているのか.....?
確か、俺は自分の部屋にいた筈.....それにこのカードは遊戯王?
もう何年も前にやめた、カードも従兄弟にあげた。」

なのに、なぜカードを持っている?

無意識に目頭を押さえる。

「疑問が多すぎる.....今、置かれた状況は、あり得ない事だが夢で無いとするなら.....」

彼、秋下 遊利(あきした ゆうり)は無言で自分の体を見た。

「この体は「誰の物」だ?」



★★★★★★★



数時間後、自分の考えが間違えではない事が分かった。

「遊利、学校に行きなさいとは言わないからせめて一緒に朝食を食べない?」

小さいノック音の後に、控えめな声がドア越しに響く。

「もう、1年経つわ。少しくらい学校に」

自分の名を呼ぶその声は聞いた事のないものだったが、察しは付いていた。

「母さん、着替えたらすぐに下に降りるよ。」

「えっ!?」



★★★★★★★



「じゃあ、学校に行ってくる。」

「え、ええ....」

この体の母親は制服を来た俺に終止驚きの表情を浮かべたまま、だがどこか嬉しそうに俺を送り出した。

「やれやれ.....また中学校をやり直す羽目になるとは」

今さらだが、俺は中学生のようだ。

そして憶測ではあるが、恐らくこの体の持ち主は典型的ないじめによる不登校児。
まずはいじめの改善から始める必要性がある。
だが、一番大事な事はこの事ではない。

「まさかとは思ったが、ここは.....」

登校中にちらほらと眼にした単語、家を出る際に言った言葉。

(遊利、デッキは持った?....え、何ってカードのデッキに決まってるでしょ?
勝てなくて、いじめられて嫌なのは分かるけど必要な物よ)

「母親の言っていた意味がやっと理解できた。
ここは....ドミノ町。
遊戯王の世界だ。」
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