【プロローグ】 化猫の宿
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く、もどかしく感じることもあるのだとか。
「あ、すいません。なんか質問責めみたいになっちゃって」
ウェンディちゃんがふと我に帰ったのは、十数分後のことだった。
僕としては自分の旅の話を改めて誰かに語る、というのも新鮮でとくに苦は無かったのだが、生真面目で全てに対して遠慮気味なこの子にしてみれば失礼なことをしたように感じたのかもしれない。
「いいよ、僕も旅を改めて振り返ってるみたいで面白かったし」
「そうですか? そういってもらえるとうれしいです」
そうだ、とウェンディちゃんが突然手をたたいた。
「クライスさん、よければギルドに寄っていきませんか? お茶か何かご馳走します。まだ、助けてもらったお礼ができてないですから」
「え? ……うーん、まぁ君に怪我させちゃったわけだしギルドのマスターに挨拶くらいしていこうと思ってたけど……。原因が僕にある以上、お礼なんて悪いよ」
「原因がクライスさんだなんて、そんなことないですよ。あんな危険なモンスターを何十匹も相手にして一気にやっつけちゃうなんて難しいでしょうし、助けてもらったことには変わりないですから」
「でもなぁ……」
「無駄よ。ウェンディは言い出したら聞かないんだから」
「そう? じゃあお言葉に甘えようかな、正直小腹がすいてたし」
「よかった。あ、見えてきましたよ」
ずっと続くかと思われた森の道。
ウェンディちゃんが指差した先には猫の頭を象ったような、特徴的な建物が見えた。
「あれが私のギルド、化猫の宿です!」
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第一印象としてのギルド、化猫の宿はまさに集落といったものだった。
アーチ状の門のような入り口をくぐってまず見えたのは、猫の頭のような特徴的な建物。あれが、通常のギルドでいう集会場のようなものなのだろう。聞いてみれば、やはりマスターはそこにいるらしい。
だが、そのほかにはこれといってギルドに関するようなものはなく、古い様式の簡易住居や田畑が並んでいるのみだ。通路とそのほかの見分けも草木の有無のみで、舗装されたというよりは踏み固められたといったほうが正しいような気がする。
あたりはもろに森と隣接しており、正直な感想としてはさきほどの集落のほうが大分ましな集落としての形をなしていたような気さえする。
まぁ、それはこのギルド周辺に張られている強力な結界がなければ、だが。
ウェンディちゃんはたいしたことは無いというような様子で話していたが、これはなかなかお目にかかれないレベルの結界魔法だ。それなりに大きなギルドの人間と共闘したり戦闘したりはあったが、防御魔法という一点に括るのであれば、僕の記憶の中では最強クラスに入るだろう。
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