【プロローグ】 化猫の宿
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通の反応だから大丈夫」
「い、痛くないんですか? 血は、出てないみたいですけど」
「大丈夫」
そういわれても、そうですかとはいえないのだろう。恐る恐るといった様子ではあるが、ウェンディちゃんは刀の根元、つまり刀が突き破っている手のひらを注視している。
突き破る、と表現してはいるものの実際はきれいに皮膚が切れているので刀が手から生えているように見えるだろう。それでも見てあまり気持ちのいいものではないので、手のひらにテ−ピングをしているが。
自分自身、初めて使ったときは見た目で痛くも無いのにイタイイタイと転げまわったものだ。
「僕は【身刀】って呼んでる。感覚的には腕の骨が一部変形して突き出してる感じかな、このまま握ったりしなくても何かを切ったりできるし」
「私の魔法と違って、自分の体そのものに直接竜の特徴が現れるんですね。グランディーネ、こんな魔法は教えてくれなかったなぁ……」
「僕も他人に譲渡できるような魔法は補助系の使えないよ。肉体強化は治癒力も強化してくれるけど、治癒魔法ほどすごくは無いし。竜といえど全知の存在ではないだろうし、一長一短って感じだろうね」
「そうですね。私、グランディーネしか竜のこと知りませんでしたけど、人みたいに竜にも得意な魔法や嫌いな魔法があるのかもしれません」
納得してくれたようなので身刀を引き戻した。
得意げに語ってはいるものの、僕自身滅竜魔法とは名の通り竜を滅する力をもつ強力な破壊魔法だと思っていただけに、ウェンディちゃんのような補助系の魔法に特化したドラゴンスレイヤーがいるとは思っていなかった。
これもこれで、ひとつの発見といえるだろう。
「その剣も、クライスさんの魔法で作ったものなんですか? 珍しい形してますけど、すっごいきれいな剣ですよね」
「ありがと、でも残念ながらこれは僕の魔法じゃないよ。刀身は身刀を使ってるけど、この刀の特別な構造は有名な刀鍛冶の作品らしい。とある依頼を受けたときの報酬としてもらったものだよ」
「あ、だから刃の部分が黒かったんですね」
それからしばらく、ウェンディちゃんはいろんな質問を僕にしてきた。
依頼で行った珍しい町の話。
戦ってきたモンスターの話。
旅の途中で聞いたドラゴンスレイヤーの噂や伝説。
合間合間に聞いた話では、彼女はギルドはギルド自体が集落となっているらしく、そこの生活で全てが完結しているのだという。
食料などは自給自足、必要な物品を買うお金は集落に伝わる織物技術で編んだ服などが収入源であるらしい。
今の生活にはとても満足していて、集落の仲間たちもみな優しい人ばかりだそうだが、少々外界とのつながりが浅く、閉鎖的なギルドであるためドラゴンスレイヤーやドラゴンの情報があまり入ってくることが無
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