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黒き刃は妖精と共に
【プロローグ】 化猫の宿
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ものが少しある程度なんですけど」

 なんて、僕の思考を知ってかしらずか少女は再び口を開いた。
 そこには先ほどの達観した表情はなく、純粋な興味を示す相応の表情をした少女がいた。
 目的の情報は得られなかったとはいえ同じ力を持つ人間同士であることに違いはない。自分と同じで、しかし異なった能力を、彼女は知りたいのだろう。
 よかった、しっかりと子供らしい一面もあるんだな。
 どうせここまで話したのだ、どうせなら思い切って今まで話したこともなかった自分の魔法を教えてやろう。

「うーん。僕の魔法はさっきも言ったように刃を司る魔法だ。でもそれだっけってわけじゃない。主だったものをあげるとすれば肉体強化が最たるものかな」
「あ、さっき見せてくれたやつですよね。刃物をぶつけても切れるどころか弾くなんてびっくりしました。そのせいで噛まれたときも怪我をしなかったんですよね」
「そ。ほかにも防弾や防爆、防毒防呪なんかの作用もある。といっても、絶対的な防御力を誇るのは対刃で他の防御はおまけみたいなもの。戦闘ギルドなんかのS級魔導師のつかう魔法なんかだと抜かれるかもしれない」

 試したことはないけれど、と一応注意しておく。

「随分自信があるのね?」

 話題がいい方向に切り替わったのを悟ったのか、これ見よがしにシャルルが会話に割り込んできた。

「そりゃあ食いつなぐために結構無茶な依頼を受けることもあったからなぁ。ワイバーン種となんかも戦ったことがあるし、一番危険な依頼だと闇ギルドの討伐作戦なんかにも参加したことがあるよ」
「や、闇ギルドの討伐!?」
「そんなに驚くなよ、なにも大御所の相手をしたわけではなし、討伐に参加した人数は三十人。S級魔導師もいたから僕がやったのは逃げ出そうとした雑魚数人とあっちのS級をたたき伏せたくらいだ」
「さらっとすごいことやってるじゃない」
「手負いの獅子は恐れるに足らず、っていうだろ」

 閑話休題。
 こんな子達に自慢話をしてどうする。
 語るような知り合いもいなかったから少々饒舌になってしまった。

「で、他の魔法だが……意外にレパートリーが少ないんだよね俺の滅竜魔法」
「そうなんですか?」
「うん。肉体強化のほかには、空中で踏ん張るための足場を作って空を走る魔法とか、これくらいかな」

 云って。
 やって。
 後悔した。
 一人と一匹から上がったのは、賞賛の言葉ではなく驚愕と恐怖からくる悲鳴だった。
 同類の存在に、僕自身もテンションがおかしくなっていたようだ。
 普通驚くだろう。
 なんの変哲も無く見える人間の腕からいきなり黒い刀が生えてくれば。

「ご、ごめん。驚いたか……?」
「あ、す、すいません! いきなりだったから、つい……」
「いやいや、普
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