暁 〜小説投稿サイト〜
無欠の刃
下忍編
君麻呂
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ものではないか!?
 カカシが動揺した時、にゅるりと、君麻呂の腹部から尖った白い骨が飛び出す。
 咄嗟にその骨をくないで弾き、後方に飛んだカカシを追うことはせず、少年は声を出す。

 「大丈夫ですか、白さん、再不斬さん」

 銀髪が揺らめき、握られた白い骨が、自らの体からわずかに漏れ出た血でぬれる。
 しかし、少年の意志の強い目は揺るがず、骨が急速に伸びたかと思うと、間合いを取り様子を伺っていたカカシの足を貫く。
 痛みで一瞬止まったカカシの体に駆け寄り、全身から骨をだし、カカシの体を数十本の骨が貫いた。

 そこには、病床で臥せり、弱っているしかなかったはずなのに、まるで昔のように闘う君麻呂の姿が、あった。

 雷切を骨の盾で受け止めた彼は、骨から感電し、ぷすぷすと音を立てる自分の体を感じながらも、後方にいる再不斬と白の姿を、ちらりと見やった。
 ぼろぼろで、足が折れた様子の白は両手を広げた状態で固まり、目を大きく見開いていて。
 再不斬は、くるはずのなかった君麻呂が居ることに驚きを隠せない様子で、けれど、優秀な道具が活躍をしたことを喜ぶような目を、君麻呂に向けた。
 それだけで、君麻呂にはとても幸せなことに思えて、嬉しくてたまらなくて、ああ、二人を守れてよかったと思いながらも、自らの腹から飛び出ている骨を掴む力を込める。
 無茶は駄目だよと、あの少年は言った。
 チャクラを使い過ぎれば、君は死ぬよと、あの少年は言っていた。
 けれど、大切な物を守って死ぬのなら、それは幸せなことだ、君麻呂は本気で思うのだ。
 どんなに長く生きれたとしても、どんなにつらい目にあって死にたくないと思っていたとしても。


 それでも、この二人を守れなければ、意味はないのだ。


 体中の骨が軋む音がする。
 喉の奥から鉄がせりあがってくる。
 胸が苦しい、うまく、呼吸が出来ない。
 けれど、

 それがどうかしたか。


 ごふりと、血がこぼれたが、君麻呂は更に全身から骨をはやし、目の前の男の体を自分に縫い付け、その場に固定させると、声を張り上げた。

 「今です!」

 再不斬がその言葉に、首切り包丁を構え、君麻呂とカカシに向けて振り下ろす。
 カカシが咄嗟に君麻呂の体を蹴り飛ばし、衝撃で逃げようとしたが、君麻呂の骨は抜けない。
 再不斬が笑う。
 首切り包丁では、君麻呂の骨を叩き折れないことくらい立証済みだ。君麻呂もまた、再不斬の思惑を読み、必死にチャクラを練り、頭に骨を集中させる。
 血が、その瞬間口内を見たし、激痛が体を支配したが、飲み込んだ。
 君麻呂とカカシに向かって振り下ろされた首切り包丁が、カカシを切り裂こうとし。


 それよりもさきに、

 

 「させるかよ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ