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魔法薬を好きなように
第17話 伝説なんて知らないぞ
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マニアがいるから。彼らがトリステインとの軍事同盟として、アルビオンに直接でむいて、退路を断つという方法があるからね」

「それって、トリステインを護ったことにならないじゃないの?」

「直接的な戦闘ではないけれど、補給路を断つというのは基本的な方法だから、ここを最低限まもれなくてはいけないんだよ。なんせ、トリステインは占領できたけれど、かえる場所がありませんでしたっていうのは、避けたいはずだからね」

「そうしたら、本当に勝てるの?」

「何をもって勝ち、というかによりけりだね」

「えっ?」

「先ほど前代未聞のことって言ってたよね?」

「そうだけど」

「少なくとも短期的には、今回のことは問題視されるだろうが、トリステイン王国が無くなれば、それも帳消しになるという考え方もありえる」

「まさか」

「だから、こちらとしては、国が残れば、アルビオンは卑怯な国として名を汚して、こちらはそれをもってして、勝ちという以外には無いだろうな。そうすれば、他国と連合を組んで、アルビオンに支配されたところを取り返して、アルビオンにたいしては経済封鎖をして、アルビオンが根をあげたところで、何らかの条件を引き出す、ってところじゃないかと思うんだけどね」

「そうすると首都トリスタニアはどうなるのかしら?」

「そこがよくわからないところなんだ。アルビオン軍は単に包囲して、白旗をあげるのを待つのか、攻撃をしかけるのか、それともアルビオン軍に包囲される前、こちらはゲルマニア近郊に名前だけでも遷都をするのかね」

「そんな、屈辱的な……」

「まだ、問題があるんだよ」

「これよりもまだ、屈辱的なことがあるのかしら」

「うーん。今は国王が定まっていないというのが一番の問題であって、遷都をしたとしても、誰が国王として、残った領地で戦いを続けていけるかなんだけどね。国王が定まっていない現状では、ヴァリエール公爵あたりが国王になってもらうのが、一番だと思うのだけど、それでも求心力がどこまであるのやら」

「……なんてことかしら」

「それでも、今日、アルビオンの空軍が首都の付近にいないので、なんとか、今日は侵攻される心配は無いけれど、明日はどうなんだろうねって、ところで、どう行動するのかは、トリスタニアの上空に、アルビオン空軍が見えてからでも遅くはないだろうってところかな」

って、俺の場合、家族とか、ティファンヌも気にかかるところだが、手の出しようが無いだろう。自領にもどっても、兵力はほとんどないし、遷都が本当にされたら、どさくさにまぎれて国軍の下士官ぐらいにはなれるかもしれないが、勝てる見込みは薄そうだしなと思っていたら、ドアがノックされたので、俺はモンモランシーのほうを見た。

「どなたかしら」

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