第一章
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第一章
ファミレスのあの娘
一河剛士はだ。この時苦しんでいた。
その苦しみのあまり食事も喉を通らず次第に痩せていっていた。その彼を見てだ。
友人達はだ。クラスでまずは冗談混じりにこう尋ねた。
「何だ?誰か好きな相手でもできたのかよ」
「それかよ」
「ああ、そうなんだよ」
何とだ。返答はこれであった。
「実はそうなんだよ」
「えっ、そうだったのかよ」
「まさかって思ったけれどよ」
「そうだったのかよ」
「ああ、そうなんだよ」
また答える彼だった。日によく焼けて立派な鼻に一文字の口、少し垂れた一重の目にしっかりとした黒い眉、金髪にしている髪を左から九対一で分けその左から右に大きく伸ばしている。顔立ちはいい。
その彼がだ。苦しい顔でこう言うのだった。
「実はな」
「おいおい、マジかよ」
「本当にそうだったのかよ」
「好きな人できたっけか」
「ほら。あそこのな」
剛士から言うのであった。
「駅前のファミレスのな」
「あのファミレス!?」
「ファミレスの娘か」
「ああ、あの娘だよ」
そこの娘だとだ。剛士は話す。
「あの娘だよ」
「あの娘でわかるかよ」
「ファミレスのウェイトレスなんて何人もいるだろ」
友人達はすぐに彼に返した。それも少しむっとした顔でだ。
「いちいちわかるかよ」
「あの店にしてもな」
「だから。あの娘だよ」
まだこんなことを言う剛士だった。
「ほら、黒髪がかなり長くて結構小柄でな」
「黒髪に小柄?」
「そういう娘かよ」
「目がくりっとしててな。色が白くて元気のある声でな」
その娘の特徴が次々と話されていく。他ならぬ剛士の口からだ。
「その娘なんだよ」
「ふうん、その娘にか」
「惚れたんだな」
「そうだよ。それでどうするかだよ」
こう言うのであった。剛士はだ。
「どうしたものだよ」
「とりあえず告白しろよ」
「そうするしかないだろ、この場合」
友人達は彼にこう告げた。彼等はまさに即答だった。
「好きな相手がいたら告白しろよ」
「それしかないだろ」
「そうか。告白しかないか」
話を聞いてだ。剛士も言った。
「それしかないか」
「ああ、まずはそれだよ」
「いいな、もう体当たりだ」
「体当たりか」
その言葉がだ。剛士の心に残った。かくしてだった。
彼は決心した。そのやつれてしまった顔でだ。
その日の放課後にだ。彼は早速行動に出たのだった。
下校してだ。早速花屋で花束を買ってだ。そのうえでそのファミレスに向かう。その彼にだ。心配なのでついてきている友人達は尋ねた。
「何か大掛かりだけれどな」
「大丈夫か?告白できるか?」
「その娘にちゃんと言える
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