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ゾンビの世界は意外に余裕だった
12話、色々たくさん
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異常がないか調べさせろ。基地への入り口にはM-25とS3アンドロイドを目立たないように配置しておけ」
「了解です」

 さらに俺は技術チーフCと技術チーフZに戦車の点検を命じてから、駐車場に向かう車列を出発させた。

 空が明るくなり始めた。第四駐車場は乗用車を中心に溢れるほどの車が停車している。逃げてきた民間人の車もかなりあるようだ。

 ゾンビが百体ほどいるようなので三号車にゾンビ掃討を命じた。四等兵三号とS3三体が散らばってゾンビを排除していく。

「ボス、五台の車に人間の反応があります」

 これだけ車が居るわりに生存車は少ないと見るべきか? ふと大人数を受け入れる時に車は隔離室になるな。と思って頭の隅にいれる。さて生き残りは面倒だが、会わないわけには行かないのだろう。

「慶太。食料と水を持っていきその場に待機するよう伝えてくれ。問題無ければ俺が話す」 

 慶太が行く前に車から出てきた連中がいた。

「助かりました」

 疲れきった様子のちょっと臭う人達から礼を言われた。最初に話しかけたのは木崎という性の四人家族で、四十代の夫婦に十代の姉弟だった。

「ここがどうしてこうなったのか教えていただけますか?」

「五日前の夜に体育館や一部兵舎で病人が大発生したのです。深夜に基地全体が病人の奇襲を受けたようなものでした。私達は連れてきたペットのリスがいたのでここに居て助かりました。そして、食料と水があったので今日まで生きてこられましたが……」

 よくある内部崩壊パターンだな。明かりがあったとはいえ夜間に逃げ回る市民と追うゾンビが混在すれば、発砲をためらう兵士もいただろう。民間人の中には軽く噛まれて逃げ出し、兵舎に転がり込んで被害を拡大させた人もいたのかもしれない。

「あの、あそこの兵舎は自衛軍がたてこもっていて最終的にヘリ部隊に救出されたのですが……、シャワーだけでも浴びに行ってよろしいでしょうか」

 比較的安全に思える第四兵舎でシャワーを浴びたいという欲求は分かるが、一応警告することにした。

「止めはしませんが、中にゾンビがいないとは限りません。武装した偵察隊を送るのでもう少し待って安全を確認してからの方が良いと思います」

「分かりました。ここで待たせて頂きます」
「では、安全を確認したら知らせします」

 衛星兵一号を紹介して診断させる。問題なかったのでもうしばらく待機して貰う。

 それから俺は契約書を差し出して一緒にくるか考えるように伝えたら、すぐにサインした。

 アンドロイドから警告がありカップルぽい若い金髪男女を見ると、何故かこっちに歩いてくる。俺は念のためS3アンドロイドを四人家族に残し、ヤンキーカップルとは別の人の所に向かう。指示を無視する人達とはなるべくかかわりたくない。

「おい、待ってくれ」

 走って追っかけてきた。
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