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パンデミック
第六十四話「適合者の覚悟」
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しみから救い出せる、と……」






「へっ、お前らしいな。その意見のおかげで、俺の不幸が役立つってわけだ」

「わたしも、スコーピオの力になるよ………怖いけどね」






















―――4年前 2017年


日本支部の装甲壁のゲートを封鎖してすぐのことだった。
ゲートを封鎖し、力尽きた俺はゲートを背に倒れた。

分厚いゲートだが、破損が酷いせいか向こうの音がよく聞こえる。
ゲートを叩く音。その向こうから俺を呼ぶ声。


………すまない……ブランク、司令………俺は、ここで…………



既にゲートの向こうの音は消えていた。
代わりに、俺達が乗ってきた爆撃機の音が鳴り響く。


…………そうだ。行け。お前達は生きてくれ。生きてこの世界を。




…………………あぁ、でも。







………………………………………俺も……生きて、帰りたかった。










あとはここで静かに終わりを受け入れるだけ。

俺は静かに目を閉じた。














グチャ。グチャグチャ。

ゴキゴキ。メキメキ。




これは夢か、現実か。
既に身体の感覚も薄れて、はっきりしたことは全く覚えていない。

しかし、自分の身体の中で何かが蠢き、骨が軋むような音が、未だに耳の奥にこびりついている。
いや、実際に何かが蠢き、骨が軋んでいたのかもしれない。



次に目を覚ました時、俺の視界に写ったのは、死を覚悟して目を閉じた時と変わらない風景だった。

訳が分からなかった。
何故俺は生きている?

そしてもう一つ気になったことがあった。
今まであったはずの痛みも気だるさも無くなっていることだ。

視界もはっきりしているし、立ち上がれる。
血の跡は凄惨なものだが、肝心な傷が無い。

そして不思議と、身体の奥から何かが疼く感覚がした。


だが、この時はそんなことなどどうでもよかった。
よく分からないが、こうして生きて歩けている。


これで仲間のところに帰れる!


俺はゲートを開けるためにパネルを操作するが、動かなかった。
何度も操作したが、ゲートはぴくりとも動かない。

クソッ!!


苛立ち、ゲートを思い切り殴りつけた。


……………………なんだ、これは?

殴りつけたゲートを見て驚愕した。
元々破損してひしゃげていたゲートが、大きな音を立てて大破した。

ゲートが大破した音を聞きつけたのか、感染者が続々とこちらに近づいてきた。
感染者達を見て、
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