暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外16『海坊主』
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は海軍船の乗組員の誰かが漏らした声だろう。いきなり天高くあがった水柱が、これまたいきなりこちらに向かって、しかもすさまじい勢いで向かってくるのだからそれが自分たちの船に直撃してしまうという想像をしてしまうのはある意味では仕方のないことかもしれない。だが、ハントの水柱は海軍船ではなく海面へと叩き付けられて――

「奴は攻撃を外したぞ! う、撃て!撃て撃て!」

 ――だからこそホッと胸をなでおろして、静かに海中へと身を落下させたハントへ
と攻撃を再開させようとする指揮官と、もちろんそれに従う下士官たちだったが残念ながらハントのそれは外れたわけではない。

「魚人空手『大瀑布(だいばくふ)』」

 ハントが着水するとほぼ同時、ふと異変が起こった。
 海軍船を、黒い影覆っている。
 薄暗さを感じて、それに気づいた乗組員が顔を上げて「!?」 
 目を丸くした。
 仲間が茫然としていることに気づき、視線につられて気づく人間が加速度的に増加していく。

「た、退避! 退避ー!」

 もはや攻撃をするどころではない。
 とはいえ退避と言われても退避できるレベルではない。

「大津波がくるぞーーーー!」

 指揮官の言葉通り、空を覆うほどの高度にまでなった一陣の高波が、海軍船をまとめて飲み込まんと大口を開けて迫っていた。
 船から逃げてもどうなるものでもない。船に残ってもどうなるものでもない。
 彼らになすすべなどあるはずがない。

 その高波は海軍船4隻を巻き込み、そのままの勢いで同じく『黒檻のヒナ』を含めた海軍船3隻を呑みこんで、あわやメリー号までも……といったところでぎりぎりずれてそのまま高波にのまれたすべてを岸へと運び、吐き出した。

「けが人はいそうだけど、誰も死んでなさそうだし、ストライク……ってとこかな」

 見聞色でそれを感じ取り、海軍船の帆がなくなった一面の海を見渡しながら満足げにつぶやく。

「しかし……予想以上の威力だったな……我ながら」

 あまりの大きさにもう少しでメリー号まで飲み込んでしまうところだった。少しだけシャレにならないことになってしまっていた可能性に軽く背筋を震わせつつも、己の両手を見つめる。

 ――こういう技が……俺にはなかった。

『海の宝刀』はもちろん『大瀑布』もクロコダイルの『砂の宝刀』や『砂嵐』から考えたハントなりの技だ。

 経験と攻撃力。
 それがハントが思う敗因。
 経験はこれから積んでいくしかないとして、それよりも今回のような大きな攻撃がなかったことが一番の原因だったとハントは考えている。

 相手は自然系悪魔の実の能力者で、ハントは非能力者。出来ることに可能と不可能の差が出来てしまうのは仕方のないこととはいえ、どんな理由があろう
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