番外16『海坊主』
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わなければならない。
あくまでも仲間のために強引に東を突破しようとするルフィたちに、本来のそれに関係のないボンクレーが立ち上がった。
「いいか野郎ども、および麦ちゃんチーム。アチシの言うことよぉく聞きねい」
自分たちがおとりになる隙に仲間を迎えに行けと提案するボンクレ―に対して、このままではビビを迎えに行くことすら出来ないかもしれないルフィたちにそれを断る道理はない。全員が頷こうとしたところで「待った」とハントがそれを制止した。
「いいよ、俺がやる」
「……ハント?」
ナミを筆頭に、全員がハントへと振り返った。
「無事な姿であいましょうねぇい! いくわよあんたたち!」
ボンクレー一味が乗っているあひる船がウソップによって撃ち開かれた南へと抜けていく。海軍の連携を見るに、それも簡単なことではないはずなのだが、海軍の狙いは麦わらの一味らしく、ボンクレーたちへの狙いはほとんど牽制程度のもので、海中へと潜り込んだハントから見ても無事にぬけられるであろうことが簡単に見て取れた。
「本当に大丈夫なんだろうなぁ!?」
ウソップの怒鳴り声に、ハントは「ああ!」と同じように声を張り上げた。
「行くぞ、ビビを迎えに!」
ハントの返事を受けてルフィが指示を下し、以下海中にいるハント以外の全員が一斉にメリー号を東へと向けて操作する。
ボンクレーのおとり作戦を否定したハントが提案した作戦は実に単純明快。
『俺が海軍を沈めるよ』
ただ、その一言だった。
現実感のない言葉。全員がそれに対していぶかしげな目を向ける中「け、けどハントはまだ体の傷が!」とハントの提案を却下しようとするナミの言葉を遮って、ルフィが当然のように『わかった』と呟き、今に至る。
――まだ、ルフィは俺を信じてくれる。
いつしか目を閉じていたハントが、自分に言い聞かせるかのように小さな深呼吸を刻む。
――クロコダイルに負けた俺だけど、俺もただで負けたわけじゃない。
「行くぞ」
誰に言うでもないく自分につぶやき、その目を見開いて行動を開始した。
海軍から数本の黒槍がメリー号へと飛来する。普段ならば多方面からそれが飛んでくるのだが、今回はたまたま一方向、メリー号の背面からだけだ。ほとんど牽制に近いのかもしれない。それを防ごうと船上の戦闘員3名が身を乗り出そうとしたところで、ハントが先に動いていた。
「……っ」
息を吐き、海面を両手で叩く。
見る分にはただそれだけの行為だが、それにより海面がまるで滝が逆流するかのように垂直に噴出し、飛来していた全ての黒槍を巻き込んで上空へと高く打ちあがる。完全に無効化されたその数本の黒ヤリを視認しつつ、ハントの側にあっ
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