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無欠の刃
下忍編
色眼鏡
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だ。あまつさえ、もしも、自分を殺した後でも生きろと命令されたとしても、幸せになれと言われたとしても、きっと、白は耐えきれない。
 再不斬の命令を無視し、死んでしまうだろう。
 生きる意味を失っておいてまで生きることなど、大切な物を喪失してまで生きることなど、

 「そんな覚悟、できるわけが!!」

 カトナは、白のその祈るような叫びを無視し、あああああああああ!! と吠えた。
 むき出しになったチャクラが嵐のように吹き荒れて、彼女の体を、そして掴んでいた白の体を焼く。
 その間にも、思考回路は回り続け、今、この一瞬の間にも、ナルトの為と言う名目で展開されていく。

 サスケはどうでもいい。けれど、死なせたら、ナルトが泣くだろう。
 サイもどうでもいい。けれど、傷ついていたら、ナルトが悲しむだろう。
 カカシもどうでもいい。けれど、ナルトは彼が傷つくことを恐れ、彼の死を悼むだろう。
 サクラもどうでもいい。けれど、ナルトは彼女を好いていた。傷つかせることを嫌がるだろう。
 目の前の少年はどうでもいい。けれど、もしも、ナルトが傷つく原因になったならば、ナルトは見逃したことを後悔し、殺したいと思うだろう。
 
 ―自分も、どうでもいい。
  けれど、死ねば、傷つけば、ナルトが悲しむだろう。

 ならば、はやく殺さなければ。目の前の子どもを殺さなければ。殺して、殺して、サスケを治療して、自分を治療して、カカシを助けて、サクラを助けて、ナルトを笑わせなければ。


 じゃあ、やっぱり、この子を殺そう。


 この思考にたどり着くまでの所要時間は、約0,1秒。そして、彼女のその思考が実行されるまでには、時間はほとんど必要なかった。
 白の折れた足に、更に負荷がかかった…と思うと、ボキリという歪な音が響いた。
 白から、悲鳴が漏れる。
 しかし、カトナはまるで聞こえていないかのように、もう片方の手で白の足を掴み、九尾のチャクラで焼き殺す。黒みを帯びた赤色のチャクラは、瞬く間の間に、白の足を焼きつくし、彼の名のように、雪のように真っ白な肌をすぐさま、火傷だらけの醜い足にかえる。
 白の、声なき悲鳴が、カトナの鼓膜を揺らす。
 カトナは何も言わず、自分の異様に伸びた爪を、白の体に向けた。

 左胸の位置。心臓の、いち。

 白の頭の中に、ばっと思考の波が押し寄せる。
 生き残るための方法が模索されていくと言うのに、見つからない、分からない。

 せめて、再不斬さんだけは逃げれるように、彼と、刺し違える!!

 そう思った白が密かに隠し持っていたセンボンを構えるよりも先に、カトナの手が勢いよく振り下ろされる。
 構えた千本が瞬時に投げられる。
 カトナの首元…急所に向かって投げられたそれを無視し、
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