暁 〜小説投稿サイト〜
無欠の刃
下忍編
色眼鏡
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も、イルカ先生も、三代目も、父さんも、母さんも、全員、ナルトが私を好くからこそ、私を好くのだ。
 私自身を、誰もすいたりなんかしない。ナルトがいなければ、誰も、誰も。

 「ナルトのために生きれない私なんて、誰も、いらない!!」

 カトナの痛切な叫びに応えるように、叩きつけられた赤いチャクラが激しさを増す。

 カトナは、覚悟を決めるために、自分の意味を捧げた。
 覚悟を手に入れるために、彼女は自分の全てを捧げた。
 誰かに愛される理由も、
 誰かに好かれる理由も、
 自分の生きていたいという渇望も、
 死にたくないという恐怖も、
 誰かに愛されたいという欲望も、
 誰かに守られたいという心も、
 誰かを愛したいという思いも、
 誰かを殺したくないという祈りも、
 …大切な人を手にかけたくないという涙も。
 何もかも、彼女はナルトにささいだ。

 そうすることで、彼女はナルトを王とした。
 ナルトがいなければ、彼女はいきれない。ナルトがいなければ、彼女は好かれない。ナルトだけが、彼女を見てくれる。ナルトだけが、彼女が生きるのを許してくれる。

 ナルトが、彼女の生きる意味。

 そう自分に錯覚させて、思い込ませて、彼女はナルトを一番にし、そうすることで生き延びて、守り続けた。
 その思いは、何よりも強く、彼女の体を縛り上げ、何よりも硬く、彼女を守り続け、何よりも気高く、ナルトを守り続けさせた。
 彼女の『忍』になるための覚悟。
 
 それは、

 「ナルトが望むのならば、私は、ナルトをも殺せる」

 歌う様に、カトナが言葉を紡ぐ。

 「ナルトが望むのならば、私はナルトがいない世界でも生き続けよう」

 カトナのチャクラで、すべての鏡が、壊される。

 「ナルトが望むのならば、私はナルトがいない世界でも幸せになろう」

 逃げ場がなくなった白を踏みつけ、彼女は白の足を力任せにぼきりと折った。
 痛みで呻いた白を冷酷な目で見つめながらも、カトナの全身から流れるチャクラは弱るどころか強さをまして、ここにはいないナルトを見つめる。

 「私は、ナルトの意のままに、ナルトさえも殺そう」

 そう言って彼女が嬉しそうにふわりと笑った時、白の全身を、衝撃が貫いた。
 白は、再不斬のために生きれれば、あとはどうでもいい。再不斬がしたいことを成し遂げるだけだ。再不斬が望んだことが白が望んだことだ。再不斬が死ねと望むのならば、白は喜んで死んでしまおう。
 けれど。

 白は、再不斬だけは殺せない。
 それがたとえ、再不斬の意思だとしても、それだけは、恐れ多く耐えがたい。
 白はどんな命令でも、再不斬の為ならばこなせる自信がある。だが、それだけは、それだけはどうやっても無理
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