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26歳会社員をSAOにぶち込んで見た。
第九話 Cooreat
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なんだけれど」
「ありがとうございます。 最近こういう気配りのできるお店は少ないので、早速好印象です」
 そんなやり取りをして、目の前にあった酒を飲む。
 流石に、オリジナルというだけあって、飲んだことがない味だ。
 けれど、まずくは無い。 寧ろ……かなり美味い分類に入るだろう。
 そんなことを思いながらグラスの中を眺めていると、店内にいた少女が僕を見た。
「お兄さん。 何か悩み事があるみたいですね?」
 その言葉に反応し、少女の方を向くと。
 少女は、無邪気に微笑んだ。
「まぁまぁ。 私達でよければ、お悩み聞きますよ。 ほら、折角の酒場ですし。
酒のせいにして吐き出した方が多少はマシになりますよ」
 そんな、彼女の甘い誘惑に。
 いつもなら遠慮しているはずが、気がつけば、口を開いていた。
「……そう、だね……。 ネットゲームでリアルのことを話すのはちょっとアレだけど……。
聞いてもらってもいいかな……」
 そんな僕の言葉に、その場にいた四人は、各々が頷いてくれた。
 それから、僕は、ありのままのことを話した。
 リアルで悲惨な売れない俳優を送っていることも。
 それを克服するため、SAOで様々な人達と、己を装って接していることも。
 そして、それが最近、マンネリ気味で、ジレンマになっているということも……。
 僕が話を終えた後。
 少女は、再び無邪気な笑顔を浮かべ。
「あはは! それなら、簡単に解決できちゃいますよ」
 そんなことを、サラっと口にした。
「っ……本当かい?」
 心の中では、すぐにでも聞きたい思いだったが、抑え、疑問をぶつける。
 すると、少女は先ほどと全く変わらない無邪気な笑顔のまま。
「本当ですよ。 話を聞く分には、まだ見てない、リアルじゃ絶対見れない表情を、まだ見てないみたいじゃないですか。
それを見ればいいんですよ。 自分でそういう状況を作り出して、ね」
 ……まだ見てない表情?
 それは……いや、しかし。
 心の中で湧き上がる、姿の見えない、しかし知っているもの。
 同時に、理性がそれを必死に抑え始める。
 しかし、その理性は、少女の一言で。
「人の死。 人の真の絶望。 死の瞬間への恐怖。 あっけない死、そういった歪んだものを、まだ見てないでしょう?
けれど、このゲームなら、SAOという夢の世界なら。 それを、限りなくリアルに、合法的に、見ることが可能なんですよ?」
 歪んでいく……。
 僕の理性が、得体の知れないものを前にして……。
「このゲームは素晴らしいゲームです。 製作者も素晴らしい。 合法的に殺せる世界。 死までの瞬間、歪んだ感情が明確に見れる。 時間さえかければ解除できるペナルティ。
うまく、よくやれば、人を殺してもペナルティを受けない。 人の
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