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アッシュビーの再来?
第3話、昇進
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はり第十一艦隊の攻勢限界点で反撃を受けたことは致命的でしょう」

「ふむ。ホーランド提督と国民には聞かせられない分析だ」
「申し訳ありません」

「いや。君の考えはよくわかった。だがそこで、別の疑問が生じてしまった。ホーランド提督の軍人としての資質について、統合作戦本部から疑問の声があがった際、ラデツキー君はホーランド提督を擁護したと聞いた。その理由を聞いても良いかね?」
「国防委員長閣下。小官はホーランド提督の部下です。それが理由です」

「それだけなら、何もホーランド提督のために、ビュコック提督やシトレ元帥に頭を下げる必要はないと思うが?」

 ラデツキーは苦労したお詫び行脚を思い出してげんなりした。

「言い直しましょう。私はホーランド提督の可能性を信じる部下なのです。提督に欠点があることは重々承知していますが、先のイゼルローンの戦いで帝国に一矢を報いたのはホーランド提督だけです。そしてティアマトで勝利を得たのも他ならぬホーランド提督のおかげです。欠点をあげつらうならば、せめて同盟軍がホーランド提督抜きで勝てるようになってからやるべきでしょう」

「なるほど。最後に一つだけ聞こう。もしホーランド提督と私が対立したら君はどうするかね?」

「小官は民主主義の信奉者であります。国民の皆様に選ばれた方に従います」
「それを聞いて安心した。私は君のことを悪いようにしないつもりだ。是非、これからも自由惑星同盟のため、私に協力して欲しい」
「もちろん全力で協力することをお約束します」

 国防委員長は満足そうに頷いてから秘書に呼びかけた。それからラデツキーに手を差し出して満面の笑顔で握手をする写真や動画を撮り、パーティー会場に戻った。

「いかがでしたか、国防委員長閣下」
「有意義な時間だった。ラデツキー君には昇進の内定を知らせた。私はこれから慈善団体で講演をしなければならない。これで失礼するよ提督」

 ラデツキーとホーランドは国防委員長を見送った。

「ホーランド閣下の推薦で小官の昇進が決まったと聞きました。この場で御礼を申し上げます」

「気にするな。ビュコック閣下は第十一艦隊の後方で遊んでいて、私より先に大将に昇進出来たのだ。貴官が昇進出世できない理由などなかろう」

 ホーランドはビュコックの昇進を思いだして不機嫌そうに吐き捨てた。今回のホーランドの大将昇進は政治的妥協と大衆迎合の産物だった。当初、統合作戦本部はホーランドの大将昇進を時期尚早と反対に回った。だが政府、世論の後押しに抵抗できるはずもなく、ビュコック提督の大将昇進と引き換えに引き下がったのである。

 もちろんホーランドには裏事情など関係ない。彼にとって重要なことはビュコックが再び先任となったことだけだ。

「いや、ビュコック閣下のことなどどうでも良い。肝心なことは貴官の功績が中将に値すると
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