【プロローグ】 滅竜魔導師
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法などの知識も多少持ち合わせているが、いくらなんでも刃物を弾くほど硬化させるような魔法は聞いたことがない。
テイクオーバーなど、硬い皮膚を持つ生物の特徴を吸収し肉体を変化させるというならわかるが、青年の腕は筋肉こそついているが普通に人間のものであり、相応の柔らかさを有しているように見える。
「驚いた? これが僕の魔法。……といっても皮膚の硬化なんてものは効果の一部なんだけど」
「一部 、なんですか? 鉄を弾けるほど体を硬化させる魔法なんて聞いたこともなかったので単一の特別な魔法なのかなって思ってたんですけど……」
「んー、まぁ特別な魔法って言うのはあってる。自画自賛するわけじゃないけど、これは多分僕にしか使えないと思う」
そこまでいって、青年は悩むように言葉を止めた。
言っていいものか、隠すべきか。そんなことを悩んでいるようだった。
だが、それも一瞬。
「信じてもらえるかはわからないけど、僕は滅竜魔導師(ドラゴンスレイヤー)なんだよ。だから、これは僕にしか使えない」
それに、ウェンディとシャルルは目をまん丸にして顔を見合わせた。
そんな反応は予想済みか、青年は困り顔で肩をすくめた。
【滅竜魔導師】
ドラゴンスレイヤーと名の通り、竜を迎撃し討滅しゆる魔法およびその魔法を行使す力を持った魔導師をさす言葉だ。その身はドラゴンの咆哮に耐え、通常の魔導師には持ち得ない莫大な魔力と身体能力を有する……と、言われている。
言われている、というのも魔法が存在するこの世界といえど半永久に生き続け一息で大地を抉ってしまうような、そんな生き物の存在は所詮御伽噺程度にしか認識されていない。
自由に空を翔け、圧倒的な力を行使する絶対存在――ドラゴン。
そんなドラゴンは、年齢にかかわらず誰もが憧れ夢見る存在であると同時に、そのあまりにも絶対過ぎる存在ゆえに古今問わず実在した、目撃したという話はすべて神話か作り話と一蹴されていた。
故に、その竜を迎撃する魔法である滅竜魔法、滅竜魔導師も当然同等の扱いを受けるのだ。
自分は滅竜魔導師だ、などとおおっぴらに発言した暁には羨望の眼差しはおろかまじめに取り合ってくれる者すら現れないだろう。そんな台詞を嬉々と発言するのはせいぜい幻想と現実の区別もつかない夢見る子供たちだけだ。
ウェンディは幼い。しかし、物の区別も付かないほど幼いわけではない。それくらいのことが青年にわからないわけもなく、初対面の相手にそんな冗談を言う意味もない。
うなずきあった二人は、なぜか意を決したような表情で青年に向き直った。
「……あの、私ウェンディ・マーベルっていいます」
「私はシャルル」
「ん?」
しかし。
返答は、返答ではなかった。
確かにウェン
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