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黒き刃は妖精と共に
【プロローグ】 滅竜魔導師
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てわずかに腫れてしまった挫いた足に巻き付けたり。戦闘だけでなくアフターケアにも長けているように見えた彼だったが、繊細さを要求される動作にはそこまで器用な人間ではないらしく、持参していた薬草を傷口にあてる動作はいささか荒い。

「ちょっと! もっと丁寧にやりなさいよ、この子はあんたほど頑丈じゃないのよ?」
「もうシャルル、失礼だよ!」

 恩人にたいしてきつい言い方をするシャルルに、ウェンディが叱責をとばす。
 というのも、逃走中にこそ負傷しなかったシャルルだがウォードッグと最初に接触したのは彼女であり、そのとき負った切り傷を手当てする道具を貸してくれたのは彼なのだ(治療自体は自分でやると拒否した)。
 彼とてこんな自体は予測していなかったのか治療道具といっても止血用の薬草、包帯程度だったがそれでも応急処置に十分助かる道具であった。

「……悪かったわね」

 カッとなりやすいシャルルだが、その実なにも礼儀知らずというわけではない。膨れっ面ではあったが、謝罪の言葉を並べた。

「別にいいよ、僕が雑だったのは事実だし。あまり誰かを手当てするっていう場面が多くないから不馴れでね」

 自覚はあったらしく、手つきがさらに丁寧になる。とはいえ、傷口に薬草を当てている以上手つきの丁寧さや雑さは関係ないのだが。
 ウェンディもこの程度のことで声をあげるのは子供っぽいと思い出来る限りの我慢しようと歯を食い縛るが、涙をためながらプルプルと震える様はむしろ声をあげられるより痛々しい。

「そういえば、こんな危険な森で君たちみたいな娘が護衛もなくなにしてたの?」

 見かねたのだろう、気をそらせるためか青年が話題を持ち出した。

「あ、それはですね。私化猫の宿(ケット・シェルター)っていうギルドに所属してまして、その依頼でこの木の実を収穫してたんです」
「ケット・シェルター? 聞かない名前だな……。でも確かにその魔法マークはギルドに所属する人間の証だし、信じるよ」
「あはは、結構森の奥にあるギルドですから。依頼も近くの村からくるちょっとしたものばかりですし、知名度はゼロに等しいかもしれません。私、このあたりは結構詳しいんですけど町に行くことは多くないのではっきりとは言えませんけど」
「なるほど、来慣れているから護衛もなくきたわけだ。でも、普段はしらないけど最近はウォードッグが徘徊してるから危険だって話だし、今度からは戦えるギルドメンバー助力を頼んだ方がいいよ」
「ウォードッグが……? そういえば、急にだったから忘れてましたけどウォードッグってもっと寒い地域にいるモンスターですよね。なんでこんな暖かい地域に……」
「それなんだよ、あいつらの生息地域に天敵のワイバーンが出たって話も聞かないし……。ま、そういった原因解明とかは僕の
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