神風と流星
Chapter1:始まりの風
Data.3 勘違いの理由
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「そ、そうだぞルー坊。女の子を急かすのはお姉さんちょっとどうかと思うヨ?」
「な、なんだよ二人して……って、あ」
二人の二度にわたる露骨な隠蔽で、俺の中で二つの出来事が繋がった。
「もしかして、アルゴが俺のことを教えたのか!?で、そのときに知り合ったわけだな!?」
「う、うん……」
「その通りだヨ……」
アルゴが俺のことをシズクに教えた張本人。つまり――――
「俺を女だと言ったのはおまえかあああああああああああ!!!!!!!!!」
あまりの怒りに俺はテーブルに身を乗り出してガクガクとアルゴを揺さぶる。ふざけんなよこの駄鼠。ガセネタは売らないのが信条じゃなかったのか。
「ちょ、落ち着いて!落ち着いてルリ君!ち、違うんだよ!私がアルゴさんから買ったのは君の名前だけで、あたしが女の子だと思ったのは君の見た目でなんだよ!」
シズクのその言葉に俺は揺さぶりをやめ、再びイスに腰を下ろして話を聞くことにした。
「いいだろう。話を聞こうじゃないか」
……若干尊大な口調になっているのは仕方がない。何故なら俺はまだ怒っているから。
「えっとまず……そうそう、あたしが一番最初に君を見たときのことから話せばいいかな?」
そう言って、シズクは話し始めた。
「あれは三日くらい前のことだったかな?あたしが街で買い物してたらさ、急に大通りのほうが騒がしくなり始めてね。気になったから見に行ってみたら、とっても可愛い女の子に見えるプレイヤーがいたんだよ。そう、それが君だったってわけ。で、君のことを知りたいなって思って情報を集め始めたときにアルゴさんに出会ったんだよ。でも、その時ちょっとした勘違いがあってね?」
「オイラはシーちゃんがルー坊を女の子だと思ってるって知らなかったんダ。てっきり、ルー坊が見た目女の子なのに実は男の子だってことを、知ってるとばかり思っていたから、わざわざルー坊の性別は教えなかったんだヨ。聞かれたのは名前だけだったしネ」
シズクの説明をアルゴが引き継ぎ、俺は大体ことのあらましを理解した。
「なるほど。シズクは俺を女だと思っていたが、アルゴは男と思っていると認識していた。だからわざわざ俺の性別を教えたりはしなかったと。まあ、わからなくはないが……お前らもうちょっと情報の共有をしろよ。そうすればこんなことにはならなかっただろうに」
呆れ顔の俺の言葉に、シズクとアルゴの二人は気まずそうに顔を逸らす。
「まあ、ちゃんとした事情があったみたいだし、今回のことは許すよ」
「「ほっ」」
「だが、次はないからな?特にアルゴ」
からかうようで実は本気な俺の言葉で、この話題は終了した。
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