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Rainy Heats
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根本的に、俺が触れてはならない人間だと確信する。
「俺達は、英雄なんかじゃない」
「いえいえ、世界を救い、戦争を止めた。充分英雄としての資格はありますよ」
「・・・勝手に言ってろよ」
『そーだそーだ!』
「では、そのように。しかし、資格はありますが名乗るのは貴方達の自由ですので。よければ、その布教に手を貸しますよ?」
「それは結構。私達は、そんな大層なものじゃない」
「それは残念。では、気が変わりましたらご連絡を」
その言葉を残し、仰々しく会釈した上で去っていった。だが、離れると背中にいやな汗が一筋流れ落ちた。あの男は、一体何者なのか。
『なによあいつ!あいつが戦争起こしたようなもんでしょ!なのにお咎め無しなの!』
「・・・終わったことには何も言えないわよ。大事なのはいまからどうするかよ」
『でもさー』
ビィがむくれるのも無理は無いだろう。だが、彼の指導力とカリスマは本物だ。現に、教団側の戦闘の八割以上が彼の一声で止まり、それに惹かれる物は多いだろう。
この戦いが続くことを止めたのは秋だ。だが、この実質的に戦いを止めたのは間違いなく彼である。そして、これから続く戦いを収束させるのも、おそらく彼だ。
その後ろをどこかで見たことのある女性が付いていた。従者なのだとすると、相当の物好きだろう。
「アオイー、はやく行こうよー」
「あ、ああ。わかった」
『でも秋ちゃんいいの?ゆっくり行ったほうがアオイちゃんに抱えられる時間多くなるよ?』
「ビィあんた天才・・・!アオイ、ちょっと寄り道もしていいわよ!」
「じゃあ真っ直ぐ帰るぞ」
「いやだー、もっとこのまま居させてー」
実のところ、アオイ自身悪い気はしなかった提案だった。だが、秋のこの姿は早めに治してやりたいのだ。

?
誰かが、追いかけてきて背中に呼びかける。
「待って下さい総帥!」
おそらく咲だ。外に出たのがこんなに早くバレるとは思わなかった。
「ふらっと姿を消して、人混みのなかに入るのはやめて下さい!一歩間違えば反抗団体に襲われるかもしれないんですよ!」
「いやぁ、ごめんごめん。外の空気を吸いたくてね」
「それら何か言って下さい!しかも彼らと接触するなんて・・・彼らには謝罪もろもろ含めての場を設けるはずだったんですよ!彼らには―――――」
「いいんですよ。これ以上、彼らに頼ってはいけません。それに、彼らはその様なことも望んでは居ませんよ」
あの『シルム』を偶像にする気はなかったが、どこからか情報が漏れこのような形になってしまったのだ。少々の引け目を感じる。
おまけに内部では彼らを英雄としても祀り上げようとしているのだからたまったものではない。
どうでこの教団も近い将来消滅する。おそらく、私が畳むことになるだろう。
「しかし、咲さん、貴女が居てよか
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